京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪 宇治作業所のびのびホテルで提供、自信と自負
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1個ずつの計量と型抜き作業も手慣れた様子 |
京都新聞社会福祉事業団が16日に京都新聞文化ホール(京都市中京区)で開く「ともに生きるフォーラム」で、参加者のお土産にユニークな焼菓子「おからスコーン」を配る。作っているのは宇治市の社会福祉法人宇治東福祉会が運営する生活介護事業所「宇治作業所のびのび」。昨年12月から商品化し、利用者の「うまいもん班」4人と担当職員2人で月に千個、多い時には2千個を作るほど懸命に取り組んでいる。
利用者の生きがい活動として京都市内の豆腐店で手作り体験をしたのがきっかけ。食品ロスにならぬようにと、おからの有効利用を考えていた同商店から提供されたものを乾煎(からいり)した「おから茶」をまず商品化。続いて、同作業所では精米作業もしていることから米麹(こうじ)を作り、「おから味噌(みそ)」製造まで発展した。火入れしない生味噌なので、味を一定に保つのが難しく1度に大量生産できないが、1樽(たる)20キロから始め、多い時には年間4樽80キロを仕込んで販売するほど好評を得ている。
この実績をもとに同豆腐店から「京都市内のホテルのアフタヌーンサービスとして提供できるスコーン製造」の話が持ち込まれた。無料で提供されるおからと豆乳に小麦粉、バター、グラニュー糖などを混ぜ合わせた生地を工夫、試行を繰り返して完成させた。
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真剣にミキサーで生地作り(いずれも11月29日、宇治市) |
今では材料の計量や業務用電動ミキサーでの生地作り、1個ずつの型抜きまで、レンジで焼く作業以外は、ほぼ利用者だけでやる。特に生地作りは、混ぜ過ぎると焼いた時に膨らみが悪くなるので、ミキサーの作動を慎重に加減する。
「最初はぎこちなかったが慣れるにつれ、真剣さも増したよう。『僕が作っている』と自信や自負も出てきて、共同作業が班員のチームワークも良くした」と支援員の永見由賀里さん(47)。「やさしい味が好評で、食べた人のおいしかったの声を伝え聞くのが、やりがいになってます」とほほ笑む。
ミキサー購入には、障害のある人が働く作業所の新商品開発などを支援する同事業団の「工賃増へ向けての取り組み」助成金が充てられた。他の利用者班が石臼でひいた抹茶を使った「まっちゃマーブル入りスコーン」を準備しているほか、味噌入りスコーンのアイデアも。
尾崎賢太施設長(48)や永見さんは「コロナ禍を経て、安全安心な食品や腸内健康を気にするようになった風潮に応えて、おいしさに加え健康にも役立つ商品をと、精米から発展して米ぬかを使ったふりかけや塩麹、甘酒なども考えたい」と意欲的だ。