京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●広がる 地域の輪 二条駅かいわいまちづくり実行委員会世代問わずつながれる街を
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今村さん=奥=の講演後、主催者としてあいさつする二条駅かいわいまちづくり実行委員長の小林さん(京都市中京区、立命館大キャンパス) |
直木賞作家今村翔吾さんの講演会が18日、京都市中京区の立命館大キャンパスで催された。「夢を見つけ 追い求めよう」をテーマに、小説家を目指す前にダンスインストラクターをしていた当時の体験を語った。
大学や商業施設、市民団体、地元店舗などが加盟する二条駅かいわいまちづくり実行委員会が催した。「街 絵本でつなぐ」をキーワードに本年度、絵本作家長谷川義史さんの絵本ライブをはじめ夏祭りやふれあいまつりを商業施設と地元の公園で開いてきた。
二条駅周辺は、二十数年前からの開発でJR駅の高架駅化や地下鉄駅の開業、立命館・佛教両大学キャンパスの移転、映画館を備えた商業施設の開業などが相次いだ。まちづくり委員会が発足したのは、街路や施設など現在の主な市街がほぼ形成された2011年だった。
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フリースクールへの支援を呼び掛けるポスターやちらしも講演会場に掲示された |
実行委員長を発足時から務めているのは、元小学校教諭の小林敬子さん(73)だ。「地域の人たちが世代を問わずにつながりやすい、暮らしやすい街にしたい」という思いだった。さわやか福祉財団を主宰する堀田力さんが提唱した「助け合い社会の実現」という言葉が活動の原点にある。
教職を辞した後に住民同士のつながりを目指した小林さんの活動の足跡は、二条駅周辺の大規模な開発プロジェクトの進行と時期が重なる。1997年に福祉分野で有償ボランティア団体、障害者が社会とつながる作業所「ふれあいほうむどうぞ▲を西ノ京中の近くに立ち上げた。06年にはランチや配食の店「ハイ・どうぞ」を、駅そばの町家が残る一角に移した。落ち着いた町並みの町家を拠点に、絵本の読み聞かせや子ども食堂、高齢者の居場所づくりなど活動の幅を広げていった。今春には、学校に行きづらさを感じる小中学生の居場所としてフリースクールを、不登校児の元保護者や元小学校教諭、作業療法士などの仲間たちと開設を予定している。
今村さんは講演で、ダンスの教え子だった高校生の言葉がきっかけで本来の夢だった小説執筆に寝る間も惜しんで打ち込むようになった逸話を通じて「夢をあきらめてはいけない」と力を込めた。講演終了後、主催者として小林さんはあいさつに立った。二条駅周辺をホームグラウンドに活動してきた自身の体験を振り返った上で「フリースクールへと一歩踏みだします」と、仲間と新たな夢へチャレンジする思いを述べた。