お楽しみ情報
京滋のくつろぎスポットをご紹介します。京都滋賀にある素敵なスポットがあれば、ぜひ情報をお寄せ下さい。

涼を求めて長岡京市へ。(06/08/15)

文・北浦加代子

写真 8月は、涼を求めて乙訓八景と呼ばれるスポットをいくつか訪ねてみました。
 長岡京市は京都と大阪を結ぶ交通の要、西国街道、丹波街道が通り、いたるところに遺跡や史跡、社寺などが点在しています。竹林が多く「かぐや姫」伝説発祥の地としても知られ、四季折々の豊かな自然と由緒ある神社、長岡京遺跡、古墳や城跡などの歴史的遺産にも恵まれた地になっています。


長岡天満宮の八条ケ池の木陰で。

 阪急長岡天神駅から歩いて10分ほどのところに、菅原道真が愛した場所として知られる長岡天満宮があります。大宰府に左遷されるときに名残を惜しんだ地として道真公を祀っています。

写真  広大な境内には八条ヶ池が広がり、毎年4月下旬には樹齢100〜150年の霧島ツツジが満開になります。霧島ツツジは市指定の天然記念物となっており、八条ヶ池には毎年多くの渡り鳥もやってくるため、観光客が集うスポットになっています。池の周囲は「ふれあい回遊のみち」になっているので、早朝や夕方の散歩道には最適です。

 真夏の昼間ということもあり、さすがに辺りは閑散としていましたが、木陰に入ると心地よく、そよそよと騒ぐ葉の音が、夏らしい風情を醸します。写真
 境内には琴の音が響く「八条茶屋」というお食処もあり、この日は数人の修学旅行生たちが、おいしそうにかき氷をほおばっていました。MAPはこちら。


陶芸家・村越琢磨氏のアトリエを訪ねて。

 長岡天満宮からバスで奥海印寺通りを進み、上ノ町バス停を降りると、辺りは素朴な田舎の風景に包まれます。ここには以前、東寺の弘法さんで知り合った陶芸家・村越琢磨さんのアトリエがあり、久しぶりに除いてみることにしました。村越さんは、全国各地で作品を展示販売するため、新作を求めて遠方からファンの方々がよく訪ねて来られるそうです。

写真 平屋造りの古民家を改装したというアトリエは、ふるさとに帰ったかのように居心地がよく、夏はとても涼しいのが魅力。アトリエ内の一室には、信楽の原土を利用した荒土の作品の数々が所狭しと並べられ、野花が似合う花器や、ぐい飲み、板皿など、どれもリーズナブルで味わい深いものばかり。また、家の前の畑には、たくさんの紫蘇の葉や、かわいい野の花が育っており、お二人の心豊かな暮らしぶりが伺えます。

 30年ほど前に脱サラで陶芸をはじめたという村越さんは、とても大らかで、いつもおやじギャグや冗談をいいながら和やかなムードをつくってくれます。器好きの奥様は、そんなご主人に一目惚れしたことを話してくれ、村越さんも「この世界に入って良かったよ。かわいいヨメサンとも出会えたしね」と終始笑顔で話されていました。写真写真
 取材に伺ったこの日はちょうど、京都・五条坂〜陶器まつり〜に出す準備がなされ、玄関には作品が山積みになっていました。
 作品を見てみたいという方は、他府県での作品展に出向いておられるため、必ずお電話してから訪ねてみてください。

8月末には、東京銀座の黒田陶苑で個展をする予定だそうです。
●土聞工房 TEL.075-956-0097


写真写真細川ガラシャの
歴史とロマンを秘めた城。

 JR長岡京駅からガラシャ通りを通って10分ほど歩くと、明智光秀の三女・玉(後のガラシャ夫人)が、天正6年(1578)16歳で細川忠興(ただおき)に嫁いだと伝えられる「勝竜寺城公園」に辿り着きます。堀では、強い日差しを浴びながら蓮が花開き、番人のアヒルが水浴びを楽しんでいます。

写真  暦応2年(1339)、細川頼春が築城した勝竜寺城は、応仁・文明の乱(1467〜)では西軍(畑山義就・よしなり)の拠点となり、後年の山崎の合戦では光秀がここに本陣を構えました。
 鉄砲の時代に対応した先駆的な築城技術を用いており、わが国の城郭史上でも貴重な城とされています。

 ガラシャは父・光秀が主君・信長を倒した「本能寺の変」で、3年間過ごしたこの城を離れ、丹波の三戸野に幽閉されてしまいます。
写真 2年後豊臣秀吉の計らいで忠興との復縁を許されましたが、苦難の生活を強いられたガラシャは心の平安をキリスト教に求め洗礼を受け、ガラシャ(神の恵み)と呼ばれるように。やがて、関ヶ原の合戦前夜、石田三成の人質になるのを拒み、自害という悲劇的な最後を遂げたと伝えられています。

 平成4年に城公園として整備され、この復興を記念して毎年11月には盛大な「ガラシャ祭」が開かれるようになりました。無料で入れる管理棟(資料展示室)1Fからは優美な庭園が望め、とてもゆったりした施設になっていました。


写真写真

青もみじが美しい光明寺で。

 西山浄土宗総本山。建久9年(1198)、法然上人の弟子・蓮生法師(れんせいほうし)が開基した寺がこの光明寺(西山浄土宗総本山)です。
 法然上人が念仏の教えを最初に説いたところから「浄土門根元地」といわれ、また楓並木の参道の美しさから近隣の人々に「もみじ寺」として親しまれているようです。

 夕方にもかかわらず、まだ日差しは強かったのですが、もみじの木陰にいると汗もひき、心地よい風が頬をやさしくなでてくれます。 京の夏は川沿いも風流ですが、緑豊かな寺の木陰もお勧めです。門に入るとなだらかな階段と平行して、車の通れるスロープもありました。晩秋のころに、もう一度訪れてみたいお気に入りスポットになりました。


プラネタリウムが隣接する
高台の向日神社。

写真 光明寺から東へ。車を走らせ物集女街道に出ます。それをさらに南下すると商店街添いの通りから向日神社の鳥居が見えてきます。ここに辿り着くまでには、京都府指定文化財の須田家住宅や、風情漂う民家などが点在し、往時の風景を伝えます。

 鳥居をくぐると真っ直ぐにのびる長い参道があり、春には桜のトンネルで多くの見物客が訪れるようです。
 社伝によると、創建は奈良時代の養老2年(718)で、応永25年(1418)に建造された本殿は、室町時代の建築様式「三間社流造(さんげんやしろながれづくり)」で写真国の重要文化財に指定されています。境内はとても涼しく、木陰でキャンパスを広げる人の姿もちらほら。声を掛けると「ここは涼しくていいですね。毎日通っていますよ」と、話されていました。

 境内の隣には、「向日市天文館」があり、中では40分間の投影で天体の観望が楽しめるプラネタリウム室や天体観測室(2F)、展示室などが設置され、子どもたちが、お母さんといっしょに、星との語らいを楽しんでいました。土星や木星などで測定した場合を想定する体重計や、宇宙模型などがあり、体重計にのってみたり、地球との比較を学んだりしながら、子どもに戻ったような気分で楽しいひとときを過ごしました。

写真 天文館の開館時間は午前9時半から午後5時半まで。毎日10時・11時・13時・14時半・16時・19時半(第2土曜日)投影され、月曜日・祝日・年末年始はお休みになっています。詳しくは向日市天文館 TEL.075-935-3800にお問い合せ下さい。


 今回訪れた社寺や、陶芸家のアトリエ、そしてプラネタリウムなど、散策するには少し距離はありますが、どこも街なかに比べると2℃ほど涼しげ。お好きなスポットをセレクトして、名残惜しい京の夏をお楽しみ下さい。

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