お楽しみ情報
京滋のくつろぎスポットをご紹介します。京都滋賀にある素敵なスポットがあれば、ぜひ情報をお寄せ下さい。

梅の香りに誘われて。
瀬田の唐橋から石山寺かいわいへ。(07/03/27)

文・北浦加代子

瀬田川

春の兆しが感じられる弥生月。
今回は梅の香りに誘われて、
瀬田川沿いを訪ねました。

石山寺は、坂道あり階段ありと、少し汗ばむほどの散策コースなので、車椅子の方には、じっくり瀬田川散策が楽しめる瀬田川リバークルーズがおすすめです。

毎回、バリアフリーの場所をと心がけてセレクトしているのですが、今回は車椅子で行くにはちょっときびしく、心から反省しています。ごめんなさい。
MAPはこちらをご覧ください。


●急がば回れ。

JR石山駅から情緒豊かな京阪電車に乗り換えて、途中の「唐橋前」駅で降りると、戦乱の舞台となった「瀬田の唐橋」が望めます。ここは近江八景の中のひとつ「瀬田の夕照」でも有名ですが、「急がば回れ」の語源の地でも知られています。

唐橋 当時、京都へ向かうには、草津市の矢橋から琵琶湖を横断する海路の方が、瀬田の唐橋経由の陸路よりも近くて速いのですが、比叡山から吹き下ろされる比叡おろしにより、とても危険な航路だったため、宗長(室町時代の連歌師)が「もののふ(武士)の矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」と歌われた地として知られています。

矢橋の船とは、「矢橋の渡し」のことを指し、東海道五十三次草津宿(滋賀県草津市矢橋港)〜大津宿(大津市石場港)を結んだ湖上水運をいいます。欄干(らんかん)に旧橋の擬宝珠(ぎぼし)をつけたアーチ型の造りは、古風で情緒深い橋になっています。

ギャラリー唐橋ギャラリー唐橋 瀬田の唐橋を少し渡ると、瀬田川湖畔に囲まれた静かな佇まいの「ギャラリー唐橋」があり、訪れた時は「花」をテーマに数々の作家の作品点が開催されていました。

毎回さまざまな企画展を開催しているようですので、訪れる際はHPを参考にしてください。ギャラリー前に車を停めて階段を上ると、すぐに観ることができるので、とても便利です。

橋の西詰めに再びもどると、以前立ち寄ったことのある湖国名産品や川魚問屋の「うおい」がリニューアルされており、訪ねてみることに…。

うおい 店舗の1Fには、手作りのふな寿司や身シジミの佃煮など数々の湖国名産品が並べられ、2Fでは、女将さんが“自慢のうなぎを最高の形で”と、食事ができるスペースが設けられています。

ランチのお勧めは、鉄鍋で温めていただく愛知県西三河産の「ねぎ う丼」(九条葱入りうなぎ丼・2000円)と午後6時からの「うおい御膳」(予約制・6000円)。花見がてら瀬田唐橋河畔で美味しいうなぎに舌鼓といきましょうか。


瀬田川沿いから京阪石山寺駅に向かうと、かいわいには旅館や温泉が数多く点在しており、川岸には瀬田川に網を打ち、とれたアユを船上で味わう網舟(あみぶね)が、一層趣を深めています。 4月1日からは、外輪汽船「一番丸」に乗って瀬田川畔を遊覧する「瀬田川リバークルーズ」も楽しめるとかで、さくらや紅葉の季節には最適のコースになっています。




茶丈藤村

●可愛い和菓子の「茶丈藤村」でひとやすみ。


「蛍谷」という地名で呼ばれる京阪石山寺駅あたりは、豊かな水の恩恵を多大に受けた石山寺の門前町です。昔、無数の蛍が飛び交っていた「石山螢」は、日本一と称賛されるほど有名な蛍の名所だったと伝えられています。

川沿いの公園には「源氏物語」にちなんだ噴水があり、石山寺に向かってさらに15分ほど歩くと、数奇屋造りに骨董(こっとう)品を配した甘味処「茶丈藤村(さじょうとうそん)」があります。

茶丈藤村 大きな窓から瀬田川が望める和風情緒たっぷりの店内は、井戸水でたてる抹茶や石山寺ゆかりの文人達をイメージして作られた創作菓子がたくさん並べられ、シジミや桜餅など手作り感のある形と、小腹をちょこっと満たせてくれる可愛いサイズが人気のようです。

「茶丈藤村」は、明治26年石山寺門前の「密蔵院」に滞在していた島崎藤村にちなんで名付けられ、人気のお餅「たばしる」は、芭蕉が読んだ句「石山の 石にたばしる 霰かな」の情景をイメージしてつくられたそうです。
石山寺を取り囲むように、志じみの釜飯・味楽亭「こしゅう」、信楽焼・趣味の店・らくやき「こしゅう」とグループ店があり、個性豊かな品揃えで、観光客の目と舌を楽しませていました。




石山寺

●満開の梅の香りに包まれて、紫式部を想う。


花の寺や近江八景のひとつ「石山の秋月」で知られる石山寺。ここは平安時代に紫式部が「源氏物語」を執筆した事でも知られる西国三十三観音霊場13番札所・真言宗大本山です。

来年は、華やかな宮廷生活を描いた平安中期の長編物語「源氏物語」が誕生して1000年を迎える記念すべき年。
石山寺と石山観光協会では、2008年4月から翌年3月までを“源氏物語1000年記念の年”とし、石山寺を中心に記念行事を展開し、寺に伝わる「源氏物語」ゆかりの宝物の特別展示や、物語に登場する1000句の和歌を短冊に映し、その句の背景を紹介する和歌展、「源氏物語」のかな文字を写して体験する写・源氏物語などを計画中ということです。詳細はこちら

石山寺東大門第一梅園へ 第一梅園

現在は、石山寺と紫式部、そして「源氏物語」の魅力の一端に触れることができる恒例の「石山寺と紫式部展」が、石山寺山頂に佇む「豊浄殿」で開催されています。

石山寺と紫式部の華やかな王朝文化の香り、時を越えて輝き続ける「源氏物語」の世界が楽しめる展示会になっています。

※「豊浄殿」までは、東大門から徒歩10分ほどのプチ登山になっていますので、車椅子の方は悪しからずご了承下さい。境内の詳しい地図はこちら
3/20現在では、おそらく梅の花は散り始める頃ですが、4月下旬から5月上旬くらいになると、参道では人の背丈よりも高いキリシマツツジ(樹齢約200年の老木ですが)が咲き乱れ、訪れる人の目を楽しませてくれるようです。


第二梅園豊浄殿紫式部像

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