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●涼を求めて、出町柳の鴨川沿いへ。（07/08/14）
文・北浦加代子
京阪「出町柳」駅を降りると、
賀茂川をまたぐ河合橋と北山の大パノラマが迎えてくれます。
猛暑が続く京都の夏。
人陰もまばらかと思いきや
たくさんの親子連れが水浴びをしていたのにはびっくり。
鴨川の木陰で、のんびりと
京の涼を満喫しました。
●こころ癒される出町かいわい
出町かいわいは、右岸から流れる賀茂川と左岸から流れる高野川とが合流して鴨川という名前に変わる拠点。
中州の府立鴨川公園には「その昔ここら千鳥の名所かな」と記された石碑があり、このあたりは映画や時代劇のロケ地としても有名です。
近くに同志社大学や京都大学などが点在することもあって、公園に設けられたベンチに腰掛けて涼をとる留学生や女子学生たちの姿もちらほら見受けられます。
川の流れも穏やかで、四条通り周辺の“ゆか”に比べると、ゆったりと時が流れているようで、とても趣があります。
府立鴨川公園の北側は、神が宿る森で知られる「糺（ただす）の森」。そして世界文化遺産として知られる下鴨神社があります。
河合橋を渡ると、北は8月16日に行われる五山の送り火の「妙法」（松ヶ崎西山・東山）の「法」の文字、そして背中（東）には大文字の「大」（東山如意ヶ嶽）の文字が、うっすらと浮かんで見えてきます。
五山の送り火は、精霊を再び冥府（死後の世界）へ送る壮大な盆行事。今では京都三大祭り（葵祭・祇園祭・時代祭）に大文字五山送り火を加え、四大行事と称されています。
※五山の送り火は京都市文化財保護条例に基づき、昭和58年6月1日より京都市登録無形民俗文化財になっています。
●清らかな水と深い緑がもてなす
くつろぎのひろば
鴨川沿いの土手では、ベンチや草の上に腰掛けて涼をとる近所の人たちや、ザリガニとりを楽しむ子どもたちで、にぎわっていました。
ここは、年中問わず近隣の子どもたちの遊び場になっているようです。そばに近寄ってみると、真っ赤に日焼けした子どもたちが「エビ（ザリガニ）とったよ!!」と、自慢げにみせてくれました。とても人なつこい、元気いっぱいの子どもたち。童心に返って、楽しく見学させてもらいました。
出町橋の西詰には鯖街道の終着点を示す「鯖街道口・従是洛中」の石碑が建ち、峠を越えて若狭湾の鯖に塩をふって担いできた人々の様子が浮かびます。
鯖街道は、小浜、熊川、朽木、途中、大原、出町と続く若狭街道のことを指し、石碑の横には、大きな柳の木がありました。
出町柳の由縁といわれる柳の木だそうです。知らなかった。こんな所に出町柳の由縁があったなんて…。散策しながら新たな京都を発見できるのは、車では味わうことのできない醍醐味です。
●金魚すくいが楽しめる金魚屋さんと、
ご利益たっぷりの妙音弁財天
賀茂大橋を西へ渡ったところに、妙音弁財天という名の社があります。鳥居があるので神社だと思っていたら、中は仏教式になっており、不思議な空気が漂っていました。
 
「妙音」とは優れた音楽を指し、「弁財天」は琵琶を弾く女神様。音楽の神様、芸能の神様として信仰されているようです。
妙音弁財天の隣は、テントが貼られており、中で金魚を売るおばさんが暑い中、テレビを見ていました。聞けば、おじいさんの代から続けているという界隈では有名な「松本金魚店」さんで、今はその家に嫁いできたおばさんが後を継ぎ、店を営んでいるようです。
松本金魚店さんには、近隣はもとより、百貨店や遠方からもたくさんの金魚の注文があるようです。
また、子どもたちが楽しめる金魚すくい用の水槽も置かれてあり「今は熱いから、誰も来ないよ」と、話していました。大文字の送り火の頃には、ゆかた姿の子どもたちで、にぎわいそうです。
●冷たいコーヒーを飲みながら
「大文字山」を独り占め
鴨川の西岸を少し下がると、テラスのある素敵なカフェをみつけたので、入ってみました。
「AL SOLE」（アルソーレ）と名付けられた店内では、留学生たちが読書を楽しんだり、おしゃべりに花を咲かせたりしていました。
とてもカジュアルな異国の雰囲気。鴨川沿いの道から、そのままテラスに入れるので、車いすの人でもゆったりと夏のひとときが過ごせそうです。
鴨川沿いに面したテラスの大きな窓からは大文字山が望め、ひんやりと冷たいコーヒーで、のどをうるおしました。メニューを見るとランチ（900円）やディナー（2000円）など、とてもリーズナブルなので、次回は食事に訪れてみたいお店です。
※上記のメニューは店名「ボンボンカフェ」、2007.8.14の時の情報です。
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