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紅葉の美しい美山で
スローな一日を楽しむ。(07/12/04)

文・北浦加代子
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清らかな由良川と美しい山々など
豊かな自然と、人々の温もりが感じられる
茅葺きの里、美山町。
今回は、今年最後の紅葉を見に
南丹市・美山を訪ねてみました。

MAPはこちらをご覧ください。
※美山町は、昨年(2006)1月1日に旧船井郡の園部町・八木町・日吉町と合併し「南丹市」として生まれ変わりました。

道の駅・美山ふれあい広場道の駅・美山ふれあい広場

●おいしいお米と
新鮮な野菜がもりだくさん。
まずは「道の駅・美山ふれあい広場」へ。

京都市内から周山街道(163号線)を真っ直ぐ北へ1時間半くらい走ると、美山町にたどり着きます。深見トンネルをくぐって赤橋(平屋大橋)を渡ると、「道の駅・美山ふれあい広場」があり、ここには、美山ならではのおいしいお米や新鮮な野菜、お土産物などが一堂に並べられています。

安掛の交差点を右折し、茅葺きの里の方面(国道38号)へ向かいます。

美山 “日本のふるさと”を代表する美山町北の集落は、現在50戸中38戸が茅葺き屋根。現存する最古の建物は寛政8年(1796)で、平成5年12月、国の重要伝統的建造物群保存地区になっています。

集落には、囲炉裏のある民宿やかやぶき交流館、美術館や博物館などが点在していました。
カメラ片手に散策する人々の姿もたくさん見受けられ、撮影スポットとしても人気のようです。


美山町北 美山町北 色づいた山々や茅葺き屋根を眺めていると、都会育ちでありながらも、ふるさとにでも帰ってきたかのような気分になるから不思議です。


●囲炉裏端でランチタイム。

蓮如の滝

さらに進むと、左手に「蓮如の滝」と書かれた看板が目に付きます。山の谷間を勢いよく流れる滝は、美山平屋八景の一つで、昔「蓮如上人」が美山に訪れたとき、この滝を見て賞賛された滝だといわれています。

「蓮如の滝」から国道を挟んで右手には、古い茅葺き屋根の「もりしげ」があります。
もりしげ"
茅葺き民家に惚れ込んだご主人が、築130年余りの古い屋敷を再生させたというお食事処で、毎日のように囲炉裏に火を入れるのは美山でも珍しいのだそうです。

もりしげ" パチパチと燃える薪の音と、広々とした畳の間…。
師走とは思えないほど、ここではゆったりと時が流れています。
囲炉裏端でいただいたのは地鶏鍋の定食(1050円)で、ふつふつと湧いた鶏のお出汁に、産み立ての卵をとじていただく味わいはまさに絶品。地元で採れた大きななめ茸も入っていて、身も心もほっかほか。ふっくらモチモチのあったかごはんや小鉢のお総菜も、おかわりしたくなるほどおいしかったです。

おいしい空気と澄み切った水、そしてその自然を大切に守り、育み、地産地消する人々の想いがぎっしり詰まった美山のお料理に舌つづみ。ここでは茶そばも人気のひと品なのだそうです。


●美山の自然をふんだんに活かし
ソーセージを作る「美山おもしろ倶楽部」。

美山の観光名所のひとつ「美山町自然文化村・河鹿荘(かじかそう)」。
その手前の道沿いに「美山おもしろ倶楽部」と書かれた看板があり、かわいい山小屋風のお店には、美山の自然を活かしたソーセージやハム、地卵、お米などが並んでいます。
美山おもしろ倶楽部
「20年前、農業を志した4人の若者が、楽しく(Enjoy)・気楽に(Relax)・楽々(Rich)と、おもしろい農業『楽農』をモットーに、作物を育てて収穫し、生産・加工・販売までを行おうと美山おもしろ農民倶楽部を結成しました」と、販売とお料理を担当する奥様が教えてくれました。

ショーケースには、隣で育てている鶏や豚、地元のハンターが運んできた鹿肉などを保存料や防腐剤を使用せず加工したソーセージ、また世界初といわれる京野菜の壬生菜を混ぜたソーセージなどが冷凍保存されており、休日になると、奥様手製のホットドッグやケーキなどがイートインできるようになっているそうです。

また新しいお店も近々隣にオープンするとかで「メニューは現在思案中です」と笑顔で話されていました。地元の素材を活かしたご馳走がたくさんいただけそうで、今からとても楽しみです。 美山おもしろ倶楽部
高タンパク低カロリーという鹿ソーセージは持ち帰って試食しましたが、数々のスパイスが練り込まれているせいか臭みもなく、とても食べやすかったです。夏はオス、秋は出産を控えたメスの鹿がおいしいと教えていただきました。


●スローライフを楽しむ人たちと、
美山の自然に感謝して。

宿泊や香り高いお風呂が人気の「美山町自然文化村・河鹿荘(かじかそう)」に立ち寄り、さらに「江和」の集落へ向かいます。
ここは私の友人が田舎暮らしをはじめた地で、今までにも何度か訪れたことのある馴染みの場所です。まだ幼かった我が子や友人を連れて、夏は近くを流れる由良川でキャンプやバーベキューをして遊んだことを思い出します。

甚弥 茅葺き屋根が残る「江和」の集落には、「甚弥(じんや)」という美山ギャラリーがあり、中にはオーナーの青山優子さん作のステンドグラスをはじめ、美山で創作する作家の作品が並べられていました。

ひとつひとつ作家の作品について話を聞く中で驚いたのは、ギャラリー兼自宅にされているこの建物が「ストローベイルハウス」であるということ。

甚弥 ストローベイル・ハウス(straw‐bale house)とは、19世紀の後半に北米で生まれた藁の家で、圧縮した藁のブロックを積み上げ、その上から土を塗って仕上げた建築様式。50〜60cmの厚い壁ならではの断熱性と調湿性、遮音性があり、しかも使用する建材はすべてが大地に還元されるエコハウスです。

また曲線を自由に生かせる造形的なおもしろさも魅力のひとつで、青山さんは「美山の地には向かないかもしれないですが、すべてが土にかえる素材で家をつくる考え方に主人共々共感して、3年前に仲間といっしょに建てました」と語っていました。

そしてこのストローベイルハウスは、成安造形大学造形学部デザイン科の教授が推奨する「藁の家プロジェクト」のひとつで、低エネルギー・循環型のライフスタイルを象徴するモデルケースとなっているようです。
出窓のように見えていた(写真左)のは、壁をくりぬいた窓だったのです。

初めて見た藁の家と素敵な生き方に心ときめかせながら、青山さんおすすめのカフェ&スローフード(予約制)&アウトドアの店「田歌舎」でおいしい珈琲をいただき、帰路につきました。

田歌舎
豊かな自然が残る美山には、素敵な出逢いや発見がまだまだたくさんありそうです。 
春夏秋冬、楽しみ方はいろいろありますが、ぜひ一度立ち寄ってみてはいかがでしょう。おいしい自然と、素敵な人々との出逢いを求めて。

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