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京滋のくつろぎスポットをご紹介します。京都滋賀にある素敵なスポットがあれば、ぜひ情報をお寄せ下さい。

湖(うみ)が恋しくなる季節。足を伸ばして近江高島へ。(08/06/24)

文・写真 北浦加代子

白髭浜

梅雨の合間の晴れた日に
少し早い夏休暇。
JR新快速の湖西レジャー号の車窓から
新緑が美しい比良山系と
煌(きら)めく湖を眺めつつ
近江高島に行ってきました。

地図はこちらをご覧ください。

●歴史ロマンあふれる近江高島

高島は、”壬申の乱”の古戦場として知られ、また、京都と北陸日本海を結ぶ水陸交通の要所として栄えた地。山庫 高島の町並み 近江商人の先人である高島商人は、織田信長の甥・信澄大溝城を築城した天正6年(1578年)には早くも店を構え、元和5年(1619年)には伊勢上野の分部光信が藩主となって城下町を整備していく上で、重要な役割を果たしたとされています。

湖西唯一の曳山祭り「大溝祭」は、分部光信が移封された100年程後に始めたものともいわれています。
昭和58年(1983)、滋賀県選択無形民俗文化財となり、毎年5月のゴールデンウイーク期間中の3日間、太鼓・鉦(かね)の囃子(はやし)とともに5基の鉾が町を巡回するそうです。町には写真右のような「山庫」が5つ点在していました。

さて、今回は駅の近くにある大溝城本丸跡からスタートです。

乙女ガ池乙女ガ池 乙女ガ池は当時の大溝城の周りを取り巻き、外堀の役目を果たしていたといわれています。

なんとも雄大な外堀で、今は家族連れや子供たちの釣りスポットになっているようです。みみずを餌に釣りをする元気な小学生の女の子が、ブラックバスやブルーギルがたくさん釣れたよと、教えてくれました。


●地元の担い手たちが生んだ「高島びれっじ」

高島びれっじ

大溝藩城下は江戸時代、政治経済の中心地としてにぎわい、多くの商家が繁栄をきわめたと伝えられています。

そして近年、こうした歴史や文化を語る町並みが失われていく世情に危惧(きぐ)した地元の担い手たちが、手づくりによる保存再生をはかり「びれっじ構想」を発案しました。高島びれっじ



駅から歩いて10分ほどのところに、その構想をカタチにした「高島びれっじ」があり、訪ねてみることに……。

高島びれっじは、1号館から7号館と名付けられた数々の古民家や商家、蔵などで構成されており、中には高島の地場産業である高島縮や雲平筆高島扇骨の扇子、和蝋燭(ろうそく)などのショップや、キャンドルの体験教室ステンドグラスカフェ手作りパンお食事処などのお店が建ち並んでいます。

1号館の染色工房いふうに入ると、涼しげなのれんや浴衣が衣桁にかけられ、それらに絵を施している女性が高島の地場産業について訂正に説明してくれました。

のれん高島縮

高島は、豊かなわき水の恵みを受け、多湿を好む綿織物の産地。
弾力性や吸放湿性にすぐれた和綿を栽培し、糸を紡ぎ、染めて織るといった風景が、かつては農家の軒下でよく見受けられたようです。

さらさらとした手触りのTシャツや下着、パジャマ、帽子は人気があり、これからの季節にはもってこいの素材です。

高島縮仕立て上がりの浴衣に、絞りやぼかしを施した浴衣がたくさん並び、きもの好きな私としては、しばらく見入ってしまったほど。
カラフルな色合いの兵児帯も関東での展示会で大人気だったそうです。今年の夏は浴衣を着て夕涼み、なんていうのも粋ですね。時間があれば一度大津西武1Fまで足を運ばせてみてはいかがでしょう。素敵な浴衣に出会えるかもしれません。会期は2008年6月24日〜30日まで。

1号館の横の路地を進むと、江戸末期の蔵を再生して建てられた5号館の「カフェ・プチレーブ」があり、今回はここで一休みさせていだたくことにしました。

プチレーブ フランス語で“小さな夢”という意味を持つ店内では、ふわふわのカプチーノやカフェラテなどのドリンクをはじめ、スイーツ好きにはたまらないチーズケーキやクリームブリュレ、カジュアルなフレンチフードなどがいただけます。
普段は、あまいものを食べない私も、こういうところにくると、なぜかぺろっと平らげてしまうから不思議です。

外がカリカリ、中がふんわりのクリームブリュレと、しっとりと上品な味わいのチーズケーキは、サイコーにおいしかったです。

●湖にたたずむ「白鬚(ひげ)神社」の鳥居

いったん駅に戻って自転車を借り、4kmほど先にある白鬚神社に向かいます。

白髭浜 湖をみながら国道161号線と平行した細い道を走ります。日曜日ということもあってか、浜辺で釣りをする親子連れやキャンプをする人々がにぎわっていました。
特に白ひげ浜は、ウインドーサーフィンのポイントになっており、車にボードを積んで訪れる若い人たちの姿が見受けられました。

隣の浜辺では、真っ黒に日焼けした中年の男の人たちが水上バイクにまたがっていました。

白鬚神社
白鬚神社は、その名の通り、延命や長寿の神様として知られる社です。
境内には紫式部や与謝野晶子などの歌碑が立ち、湖中に浮かぶ朱色の鳥居は、厳島神社を彷彿(ほうふつ)とさせます。

「三尾の海に/網引く民のひまもなく/立居につけて/都恋しも」(紫式部)
(大意)三尾が崎の浜辺で漁をしている人の手を休めるひまもなく、立ったりすわったりして網を引くその姿を見て、都を恋しく思った。

鳥居鳥居の背景には沖島がうっすらと見えていました。

JR山科駅からだとJR新快速湖西レジャー号で約33分という近さ。
ふらっと湖を眺めに行くスポットとしては、ちょうどいい時間なのかもしれません。
湖西線の車窓からの眺めもおすすめです。

歌碑についてのお問い合わせ先
教育委員会事務局 文化財課 Mail: bunkazai@city.takashima.shiga.jp

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