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おいしい食材と紅葉を探しに東近江へ。(08/11/11)

文・写真 北浦加代子

旦度橋(たんどばし)の上から愛知川上流を望む
旦度橋(たんどばし)の上から愛知川上流を望む

食欲の秋。スポーツの秋。芸術の秋…。
秋は、どこかへ出かけたくなるもの。
近江のおいしい食材と、紅葉を求めて
永源寺かいわいを訪ねてみました。

地図はこちらをご覧ください。



●新米とおいしい食材探しの旅

名神高速道路の八日市ICを降りて、八風街道と呼ばれる国道421号を東に進みます。国道沿いは、稲刈りをすませた田んぼが広がり、とてものどかな雰囲気です。

インターから10分ほど車を走らせると、「にごりワイン」の旗が目につきます。
車をとめて中に入ると、奥のカウンターでは試飲を促す女性スタッフが、聞き慣れない「にごりワイン」について話しています。

「果汁を醗酵させてワインができ上がっていく途中の“もろみ”の状態をろ過せず、食物繊維や酵母をそのまま瓶詰めしたワインです。どうぞお試しください」

車だったため、残念ながら試飲することはできませんでしたが、カウンターで味わう人たちはみな「おいしい」と声をそろえ、同じ敷地内にある「パンの匠 ひとみ工房」の試食用「天然酵母パン」をほおばりながら、さまざまな種類の新種に舌鼓を打っていました。
かみごたえのある天然酵母のパンは、もっちりとしてとてもおいしかったです。

永源寺から、ダムを望む
永源寺から望む永源寺ダム
ヒトミワイナリーのすぐ隣には、オーナー夫妻のコレクションを集めた「日登美美術館」が建っています。 中には、浜田庄司、河井寛次郎、棟方志功らに大きな影響を与えたと伝えられる英国出身の陶芸家・バーナード・リーチのコレクションを中心に、バラエティーに富んだコレクションが展示され、有料ですが一般の人もみることができるようになっています。

また、永源寺ダムを過ぎ、愛知川渓谷に沿って少し車を走らせたところに、かやぶき屋根の「日登美山荘」があり、ここは、ヒトミワイナリーのオーナーが永源寺ダムができる時、ダムに沈む予定だった民家を5、6軒移築して1軒の家を作ったところなのだそうです。

きれいな水でしか育たない新鮮なイワナ料理とヒトミワイナリーのワインが味わえる“1日1組だけのぜいたくなもてなしの宿”になっており、1日に、2名から10名までのお客様が泊まれるようになっています。

●真っ赤な景観を期待して、紅葉の名所「永源寺」へ

十六羅漢の石仏
十六羅漢の石仏

ヒトミワイナリーから、八風街道をさらに東へ向かいます。 左手に旦度橋(たんどばし)といわれる赤い橋があり、対岸には紅葉の名所「永源寺」が見えてきます。

永源寺は、臨済宗永源寺派の総本山で、鎌倉時代、寂室元光和尚(じゃくしつげんこうおしょう)が伽藍(がらん)を建立したのが始まりといわれています。寂室の死後も永源寺には高僧が集まり、佐々木氏の保護のもと、盛時には2000人もの学僧が集まり栄えたと伝えられています。

秋が深まると真っ赤に染まる山門
秋が深まると真っ赤に染まる山門
石段の参道を登ると石崖には、十六羅漢の石仏が点在します。渓谷の両岸をはじめ、参道一帯にはモミジが多く、秋の紅葉期には多くの観光客でにぎわいます。残念ながらこの日はまだモミジも青く、11月下旬頃が見頃かな…と境内の人が話されていました。

11月15日(土)・11/16(日)・11/22(土)・11/23(日)の17:00〜20:30には、恒例のライトアップが予定されているようで、幻想的な夜のモミジが楽しめそうです。ライトアップの詳細は主催・永源寺地区町づくり協議会まで。

土産物店が建ち並ぶ永源寺の境内
土産物店が建ち並ぶ永源寺の境内
また、永源寺は、松尾芭蕉が詠んだ「こんにゃくの さしみもすこし 梅の花」の句碑が開山堂の近くに建つほど、古くからこんにゃくでも有名な地。境内では、赤いこんにゃくを売る店や、地場の野菜を佃煮や漬物にして売る店が軒を連ねていました。
赤いこんにゃくは、良質の自然水と昔ながらの製法で、三二酸化鉄という鉄分を加えて赤く染められるそうです。おでんをひとつ(1串100円)いただきましたが、食感は普通のこんにゃくよりも、もっちりとして柔らかく、とてもおいしかったです。

●しぼりたての牛乳で作るイタリアンジェラード

池田牧場ではイタリアンジェラードが人気
池田牧場ではジェラードが大人気

永源寺の旦度橋を背に西へ戻ると、山間に向けて「池田牧場」の看板が建っています。
ここでは、しぼりたての牛乳で作るイタリアンジェラードが味わえるようになっており、手間を惜しまず毎日クリーマーをまわしてつくるその味は、観光客にも大人気。

また隣では「地場産品応援の店」という5つ星の緑ちょうちんが掲げられた「田舎の親戚 香草庵(こうそうあん)」という農家レストランも建っていました。

築160年のかやぶき民家を移築した香草庵は、鹿やシシ、岩魚、こだわり豆腐など、珍しい食材と手間暇かけたメニューが多いため、訪れるお客さんには事前予約をお願いしているようです。

●素朴な味わいに舌鼓

永源寺そば
地元産のそば粉と、永源寺の深山から湧き出る名水を使用し手打ちした永源寺そば
帰り道、もうひとつの地元名産といわれる「永源寺そば」を訪ねました。マイタケの天ぷらや味付けした山菜が、おふくろの味を思わせるよう。永源寺特産こんにゃくとまいたけの煮物もサービスしていただき、田舎の素朴な味わいを堪能しました。ここでは予約すれば、そば打ち体験もできるそうです。

また同じ敷地内には、安くて新鮮な白菜やさつまいも、柿など、地元の人たちが協力しあって運営する地場野菜のお店もあり、車にたくさんの野菜を積んで帰る観光客も多かったです。

豊かな水と自然に囲まれた永源寺かいわいには、この他にも政所(まんどころ)茶や、永源寺みそ、マイタケ、梅干しなど、おいしい素材が盛りだくさん。
また、こけしやお椀のベースをろくろで作る木地師(きじし)発祥の地としても有名なので、次回は、宿泊しながら、ゆったりと東近江のスローライフに浸ってみたいなと思いました。

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