お楽しみ情報
京滋のくつろぎスポットをご紹介します。京都滋賀にある素敵なスポットがあれば、ぜひ情報をお寄せ下さい。

穏やかな醒井の清流に癒やされて(09/10/20)

文・写真 北浦加代子

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心を癒やす湧水の地蔵川

キンモクセイの香り漂う季節。
今回は滋賀県米原市にある
“醒井(さめがい)湧くわく街道”を訪ねました。

醒井と地蔵川の清流は、湖国十景のひとつに選定され
中山道を歩く旅人の、癒やしスポットになっています。
地図はこちらのアクセスをクリックしてみてください。

醒井の観光や米原市の最新情報については、
米原観光協会(米原市役所商工観光課内)まで。



醒井の湧き水をふんだんに使った
癒やしスポット「醒井水の宿駅(さめがいみずのえき)

醒井の名水を使ったコーヒーやティーがいただける「喫茶 梅花藻」
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JR醒ヶ井駅
白い梅の花に似た沈水植物「梅花藻」
東海道と並ぶ中山道。醒井は、その道程69次、61番目の宿場町です。
鈴鹿山系霊仙山からもたらされる清らかな名水は、古くから多くの旅人たちののどを潤してきました。
JR醒ヶ井駅の隣に設けられた「醒井水の宿駅」では、今もこんこんと湧き出る水を利用したお料理やコーヒー、お茶で、訪れる人たちを温かくもてなしてくれます。

中でもオススメは、和食ベースのレストラン「居醒(いざめ)」のお総菜バイキング(大人1380円)で、ランチタイムには一口サイズの鱒のにぎり寿司や名水豆腐、鱒や山菜など、地元の食材を使った季節感あふれるメニューがたっぷり楽しめます。

また、醒井の名水使用の豆腐や醤油、新鮮野菜、鱒みそ、虹鱒の水煮缶、梅花藻入り名水うどん・そばなどの特産品販売所もあり、醒井ならではのお土産をセレクトし、旅の帰りに持ち帰る人も多いようです。

交通量の多い国道21号線から少し入った静かな旧街道沿いには、水温15度前後を保つ澄んだ湧き水の小川「地蔵川」が流れ、川底には名水が生み出した白い花「梅花藻(ばいかも)」が毎年初夏から晩夏にかけて水面上に咲き乱れます。

この日は、もう見られないと思ってあきらめていましたが、まだ少しだけ白い花が顔を出していて、五弁の小さな花は、名前の通り梅の花のようでした。
梅花藻は、絶滅危惧種であるハリヨの巣づくりや産卵に絶好の場所を提供しており、水の汚れを敏感に悟るハリヨも近年では、全国的に数少なくなってきているようです。



日本武尊も実証済みの名水「居醒(いざめ)の清水」

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ヴォーリズの設計によって建てられた旧醒井郵便局
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穏やかに流れる地蔵川
JR醒ヶ井の駅から国道21号線を渡り、左(関ヶ原方面)へ進みます。

右手に天台宗の山岳寺院・松尾寺政所、左手には醒井宿資料館(旧醒井郵便局)が見えてきます。

醒井郵便局は、大正4年(1915)に米国出身のウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計によって建てられた木造2階建の洋風建築で、平成10年に国の登録文化財に登録されています。

平日のせいもあってか、町はとても静かです。
選挙カーも走っていたのですが、観光客の存在を確認するや否やあわててマイクをOFFにし、窓から顔を出して「お楽しみのところ、お騒がせしてすみませ〜ん。ゆっくりと醒井散策をお楽しみくださ〜い」と手を振りながら、スーッと通り過ぎていきました。

選挙戦まっただ中だというのに、何とものどかな雰囲気です。
支持者でなくても「はーい」と、思わず手を振ってしまうほど。これも醒井ならではの光景なのかもしれませんね。

醒井大橋と書かれた橋の右手には、平安中期の天台宗の高僧・浄蔵法師が諸国遍歴の途中、この水源を開き仏縁を結ばれたと伝えられる「十王水」があります。

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地蔵川に架かる醒井大橋
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17世紀中から後半に建てられたという貴重な醒井宿問屋場
さらに進むと、今度は左手に国指定の天然記念物・御葉附銀杏(おはつきいちょう)という珍しいイチョウの木が植えられている「了徳寺」の看板が見えてきます。

看板に従って細い通りを進むと、あたりは銀杏特有の匂いがたちこめています。足の踏み場もないほど境内に敷き詰められた黄色い実と落ち葉の数々。
実とひとつになった葉を手に取ってはじめて、その名の由来が納得できました。

中山道に戻り、先に進むと右手には米原市指定文化財・醒井宿問屋場(旧川口家住宅)が見えてきます。

「問屋とは宿場を通過する大名や役人に人足・馬を提供する事務を行っていたところ」で、現在、宿場に問屋が残されているところは珍しいのだそうです。
平成12年より修理をおこない、再び江戸時代の宿場の問屋として公開されていました。(有料200円)

さらに歩くと、和洋折衷の昭和初期の建物である醒井公会堂(国・登録有形文化財)、平成14年にオープンした醒井木彫美術館と続き、ハリヨの稚魚が泳ぐ水槽が置かれた地蔵堂、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の像、そして地蔵川の源流である居醒の清水へと続きます。

居醒の清水には、こんな話がありました。

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日本武尊の像
景行天皇(けいこうてんのう:『古事記』『日本書紀』に記される第12代の天皇)の時代に、伊吹山に大蛇が住みついて旅する人々を困らせておりました。そこで天皇は、日本武尊にこの大蛇を退治するよう命ぜられました。
尊は剣を抜いて、大蛇を切り伏せ多くの人々の心配をのぞかれましたが、この時大蛇の猛毒が尊を苦しめました。
やっとのことで醒井の地にたどり着かれ体や足をこの清水で冷やされますと、不思議にも高熱の苦しみもとれ、体の調子もさわやかになられました。
それでこの水を名づけて「居醒の清水」と呼ぶようになりました。(現地案内板より)


居醒の清水を横目に、鳥居のある急な階段を上がると見晴らしのいい、加茂神社にたどり着きます。
左手に名神高速道路、右手に国道とJRに挟まれた旧中山道を眺めながら、いつまでも梅花藻やハリヨが生息するきれいな水で、私たちの心を潤してくれる場であるように、と祈りました。



菅原の道真を祭る天神水へ

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天神水広場
再び居醒の清水から醒ヶ井駅へと来た道を戻り、今度は車で天神水に向かいます。

名神高速道路をくぐり、左手の醒井小学校を経て枝折川に沿って左折すると、のんびりとした里山の風景が広がってきます。「とおりゃんせ とおりゃんせ」と書かれた天神水の看板から3分ほど走ると、天神水に到着します。

枝折川の源流として知られている天神の水。
泉は山根から絶え間なく湧き出し、透き通った清水をたたえています。泉のほとりには学問の神様で知られる菅原道真公が祭られ「知恵の水」とも呼ばれています。
集落の背後の山々は、すべて石灰岩で、雨水の浸食作用を受けた空洞があり、大量の地下水が流れ出ていて、その一部がここに湧き出ているものと言われています。清水は枯れることなく湧き続け、今も生活用水や農業用水として大切に維持しておられるようです。
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醒井の人たちの命の水
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ゆっくりと腰掛けてくつろげる天神水広場


泉には、近隣の人が放流したと思われる大きな虹鱒がたくさん泳いでおり、水上からでもはっきりと虹色の美しい姿が確認できるほど、とてもきれいな水でした。

キンモクセイの香りに包まれながら、五感を刺激させてくれる醒井のひとり旅。

その締めくくりは、やっぱり虹鱒料理に舌鼓…と、いきたいところ。

きれいな水に、おいしい魚と地元野菜を使ったお料理は、身も心もあたためてくれる最高の栄養源になりそうです。

おいしい虹鱒料理がいただけるお店は、こちらをご覧ください。
本陣 樋口山 http://higuchiyama.com/
養鱒センターきたがわ http://www.youson.jp/
醒井楼 http://samegairo.com/

おいしい日本そばがいただけるお店はこちら。
伊吹野 http://www.ibukisoba.co.jp/


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