●春を待ちわびて
近江富士花緑公園へ(10/02/23)
文・写真 北浦加代子
滋賀県の富士の山、近江富士(三上山)。
なだらかな稜線を描く標高432mの山は、
県のシンボルとして多くの人々に親しまれています。
その南東側のふもとに、
近江富士花緑公園があります。
今回は、梅のつぼみがふくらみかけたとの報せを耳にしたので、さっそく訪ねてみました。
地図はこちらをご覧ください。
早く来い来い春の花
梅の香りに誘われて
まだ雪がちらつく滋賀県・野洲駅。
そこから車で15分ほどのところに近江富士花緑公園はあります。
今回初めて気づいたのですが、近江富士はふたつの峰からなっていて、大きい方が男山、小さい方が女山と呼ばれているのだそうです。
また、藤原鎌足(ふじわらのかまたり)の子孫・田原藤太秀郷(たわらのとうたひでさと)のムカデ退治伝説から「むかで山」の異名もあるそうです。
滋賀県立近江富士花緑公園は、平成4年4月に『県民に四季を通じて花と緑に親しむことができる場』『森林を利用した保健休養の場を提供する施設』として開園した県立公園(入園無料)です。
温かいシーズンになると、近隣の住民や、すぐ隣にある施設「びわこ学園」の人たちの憩いの場になっています。
公園内の樹木や花壇の整備は園芸ボランティアの皆さんが、樹木や生垣のせん定や花壇の植替え、庭園の整備など、年間を通して活動をされています。
52ヘクタールもの広大な敷地には、宿泊施設も併せ持つ木造建築の「ふるさと館(事務所)」や、四季折々に訪れる人の目を楽しませる「植物園」、さまざまな木工細工が楽しめる「ウッディルーム」、そして懐かしい茅葺きの民家「里の家」、森をテーマにした展示物が見られる森林(もり)のわくわく学習館、ファミリーでにぎわう6棟のロッジなどが点在しています。
施設の詳細はこちらをご覧ください。
梅の様子を尋ねると、「里の家」の奥に広がる梅林へと促してくださる公園長の小田さん。
まだ、ちらほら咲きではありましたが、ほころびはじめた梅を見ながら、少しずつ少しずつ春が近づいていることを実感しました。
茅葺きの「里の家」には、近隣の方がボランティアで生けてくださったという花が玄関や床の間に飾られ、寒い時期ではありましたが、おかげでとても温かい気持ちになりました。
「里の家」で、撮影をしていた男性が、木地師の里、永源寺に伝わる昭和初期の建築様式によって復原されたことを教えてくれました。こういう出会いも、そぞろ歩きの楽しみです。
ぽかぽか陽気の日曜日には
「森のBe-Cafe」でランチはいかが?!
公園内に設けられた数々の散策道では、まるで競歩の練習でもしているかのように、足早に歩く年配の人たちの姿が目に付きます。
途中、「里の家」付近で不思議な木を見つけたので、そばを歩いていたご夫妻に尋ねると「たぶん桐だろうね」と話されていました。
ぶどうの房のような赤い実が、桐の実だったとは…。
去って行かれたご夫妻に向かって、「ありがとうございま〜す!」と大声でお礼をいうと、手を振って応えてくれました。
後で小田さんに聞いたのですが「名前は、たんすの桐に似ていますが、それとは別の種類」なのだとか。そこで調べてみると、種類は飯桐科で、別名「南天桐(なんてんぎり)」 と呼ばれるらしい。木の葉はハート型で、昔、葉で飯を包んだため飯桐と呼ばれるようになったそうです。公園内には、普段見られない植物が植えられているので、ゆっくり散策しながら観察してみるのも楽しいですね。
その後、植物園に足を向けると森の中には、かわいいログハウスの「森のBe-Cafe(10時から17時/土・日・祝日のみ営業)」が見えてきます。
ここは、NPO法人びぃめーる企画室が運営する“花と緑とおいしいごはん”のお店です。毎日かわるパンとケーキ、体に優しい手作りのランチは大人気。
おもちゃや絵本のあるキッズスペースも設けられているので、子ども連れでのお出かけも楽しめそう。
ぽかぽか陽気の日曜日には、森の中に設けられた椅子に腰かけて、のんびり読書を楽しむのもいい感じ。
また、店頭のひろばでは毎月第4土曜日に、アーティストたちが手作りした作品を展示即売する「森の手作り市(10時から15時)」も開催しています。
たくさんの人々との出会いに期待して
「永年、近江富士を撮影しているカメラマン・八田正文さんと出会い、それが縁でデジカメ教室を開催したことがあります。いろんな人との出会いが楽しいイベントの基になっています」と、公園長の小田さん。
毎月気軽に楽しめるイベントを企画しているので、お天気の良い日はぜひホームページの最新情報を見て訪ねてみてくださいね。
下の写真は、以前撮影されたものを、お借りしました。
梅や桃、桜の香りが漂ってきそうです。春が待ち遠しいですね。ありがとうございました。
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