お楽しみ情報
京滋のくつろぎスポットをご紹介します。京都滋賀にある素敵なスポットがあれば、ぜひ情報をお寄せ下さい。

(10/08/17)

文・写真 北浦加代子

2羽の鶴をイメージしてつくられた
舞鶴湾のクレインブリッジ

舞鶴の青い空と澄んだ海。
浜辺では、無邪気に遊ぶ子どもたちの声。
夕焼け空には、赤レンガ倉庫群でジャズの音色が鳴り響く…。

今回は、さまざまな表情を魅せてくれる舞鶴を訪ねてみました。

地図はこちらをご覧ください。


 

よみがえる、喜びと悲しみのドラマ

期待感たっぷりのアプローチ
開放感たっぷりの店内

 舞鶴には、一度は食してみたい本格フレンチのレストランがあります。それがここ「ほのぼの屋」さん。以前、webでもご紹介したことのあるお店です。

 東舞鶴インターチェンジから車で約15分。舞鶴湾を望む高台で、おいしいフレンチ料理がいただけるということで、特に舌の肥えた女性客に大人気。
 吹き抜けになった2階建ての店内はとても開放的で、天井まで広がる窓からは自然光が降り注いでいます。開口部の向こうにはウッドデッキが広がり、リゾートムード満点です。

 静かに流れるクラシックのメロディー。藍色のクロスが敷かれたテーブルには、脚付きのウオーターグラスとナイフ&フォークがセッティングされ、まるでスペシャルな一日をプレゼントしてもらったかのような、ぜいたくな雰囲気。

 「ここに来て早5年になります。障害を持つ人たち主体のレストランですが、心のこもったサービスと一流の味で、お客様をおもてなしするよう心がけています。最近では、隣のプチホテル・おーべるじゅどぼのにもリピーターさんが多く来てくださるようになり、とても喜んでいます」と穏やかに話してくださるシェフの細井さん。

 部屋は1Fジュニアスイート《ヴァーグ》と2Fセミスイート《シエル》に分かれていて、インテリアがとても素敵です。

 「ほのぼの屋」では、1日1組限定のレストランウエディングも行っているので、近々予定のある方は一度見学に訪れてみてはいかがでしょう。


 「ほのぼの屋」さんから湾岸沿いを北に進むと「引揚記念館」があり、隣には「引揚記念公園」があります。

 今から65年前。第二次世界大戦の終結にともない、当時海外に残された日本人660万人以上をすみやかに帰国させなければならなくなりました。このことを「引き揚げ」といいます。

引揚記念公園

引揚記念公園にて

 「都会の若い人に引き揚げっていっても、魚かエビかなんていわれそうですが…」と、近隣の老人は嘆いていらっしゃいましたが…。

 舞鶴湾は、政府が指定した引揚湾のひとつとして、昭和20年10月7日引揚第1船の入港から昭和33年9月7日の最終船まで13年もの長きにかけて、その使命を果たしたそうです。

 昭和63年に開館した記念館では、ボランティアで活動する「舞鶴・引揚語りの会」の男性が、極寒のシベリア抑留でどんな労働を強いられていたか、どんな暮らしをしていたか、どんなものを食べていたのか、どんな気持ちで祖国に戻ることを期待していたかを説明してくださいました。また、我が子や夫を待つ母親や肉親たちのことも。

 今では考えられないことばかり。引き揚げられた人々の中には、一匹の犬がいたことも話してくれました。名前はクロと名付けられ、日本人にとてもかわいがられていたそうです。

 引揚記念公園には、引揚各部隊や団体の献木(桜)がたくさん植えられ、枝には亡き家族や友人を慰霊する札が、かけられていました。

 再び繰り返してはならない戦争の悲劇。そして悲惨な引揚の史実。これらを決して風化させないよう、平和の尊さを語り継いでいきたいものです。



先人の漁師に受け継がれた
美しい森と海

 リアス式海岸特有の起伏に富んだ舞鶴湾は、海の幸がとても豊富です。

 先人の知恵と、その思いを受け継いできた漁師たちは、海岸近くに広がる森林の伐採を禁じてきました。海辺の森林は、魚を寄せ付ける「漁付林」であることを知っていたからです。科学的には森林の腐植土から出る銀イオンが海藻の繁茂の条件になっているためだといわれていますが。

 特に舞鶴の北端・大浦半島の沿岸はブリやアオリイカの好漁場として知られ、成生岬にある樹齢300年を超える「スダジイ巨木」は日本一のシイの木として大切に守られているのだそうです。

 森が豊かなら、海も豊かになる。この自然が繰り広げる壮大な営みを漁師だけでなく、訪れた私たちも意識していかなければと、強く感じました。ちなみにこの巨木は舞鶴市指定文化財になっています。(非公開)



岩がきと旬の魚に舌鼓

 JR西舞鶴駅の近くの国道175号線沿いに海鮮市場「道の駅・舞鶴港とれとれセンター」があります。お土産物や、海で捕れた新鮮な魚介類をその場で焼いてくれるうれしいスポットです。 この時期の旬は、海のミルクと呼ばれる岩がき。

 さっぱりとレモンをかけた岩がきに、長いつまようじを刺していただく味は、とっても濃厚でクリーミー。ひとつ500円から600円くらいですが、全長10cmほどもある大きな岩がきですから、いただく価値あり! これだけ食べに舞鶴に行ってもいいくらいです。ぜひご賞味あれ!

 他にも、丹波とり貝やイカの姿焼き、ほたて、ウニ、日干しのカレイなど、持ち帰ることもできます。生ビール片手に食しているパパさんたちの姿が、ドライバーとしてはちょっぴりうらやましかったです。

 魚介類の他にも、舞鶴かまぼこや黒豆を使った和菓子もおすすめ。ふっくらもちもち丹波の黒豆は有名ですものね。


 舞鶴は、これからの季節もイベントが盛りだくさんです。赤れんがアート&クラフトフェスタin舞鶴や、新日本海フェリーで行く舞鶴・丹後天橋立周遊クルーズ、また、11月頃解禁されるおいしい舞鶴カニの情報など詳しくはこちらをご覧ください。



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平成6年に復元された引揚復元桟橋 道の駅「舞鶴港とれとれセンター
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自衛隊桟橋に停泊する護衛艦内は、土日祝日のみ見学できる 引揚記念公園の頂上に建つ
岸壁の母・異国の丘 歌碑
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赤煉瓦のまちづくりを進める拠点や芸術・文化の交流の場となる舞鶴市政記念館 釣りをしたり、食事をしたり、プラネタリウムを楽しんだりできる舞鶴親海公園
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65年前の光景を想像しながら、舞鶴引挙記念公園からクレインブリッジを望む 平和と国際友好のかけ橋として意義深いものになることを願って建てられた「浮島丸殉難の碑」(浮島丸殉難者追悼の碑実行委員会)

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