お楽しみ情報
京滋のくつろぎスポットをご紹介します。京都滋賀にある素敵なスポットがあれば、ぜひ情報をお寄せ下さい。
(12/02/14)
文・写真 北浦加代子

かわいいつぼみが、ふくらんで…


モノトーンの風景に、花の開花が待ち遠しい季節。
今回は、坂本の盆梅展や、ひな人形展、
まだ、少し早い三井寺の桜など、
「大津の春」をテーマにしたスポットを
集めてみました。

三井寺へはこちら
坂本盆梅展へはこちら
西教寺のひな人形展はこちら



「三井の晩鐘」の響きに、
三橋画伯の思い、しのんで

三井の晩鐘

京阪石山坂本線の三井寺駅から歩いて10分ほどのところに、天台寺門宗の総本山である三井寺(みいでら)があります。
正式には長等山園城寺(ながらさんおんじょうじ)といい、境内に天智・天武・持統の三天皇の御産湯に用いられた霊泉(井戸)があることから「御井(みい)の寺」と称され、後に「三井寺」といわれるようになったそうです。

春には境内に1000本以上のソメイヨシノや山桜が咲き乱れ、三井寺観音堂前の展望台からは、ピンク色に染まった春の景色が望めます。

三井寺の桜
提供:大津市観光振興課

また、境内には近江八景のひとつで知られる「三井の晩鐘」があります。「日本三銘鐘」のひとつにも数えられた荘厳な音色は、環境省の「日本の残したい音風景百選」にも選ばれ、毎日夕刻になると美しい音色を響かせます。

この三井の晩鐘には、昔から悲しい民話が伝えられています。
この民話を絵にした三橋節子さん(画家・1939−1975)は、2人の幼子を抱えながら、鎖骨腫瘍で右手を失った後も左手で描き続け、35歳の若さで短い生涯を閉じたそうです。

かわいいわが子のため、自分の身を刻むことに、ちゅうちょしなかった民話の中の母の姿に、自身を重ねたのかもしれません。三橋節子さんの作品は、近くの三橋節子美術館に収蔵・展示されているので、訪ねてみてはいかがでしょう。

三井の晩鐘の奥には、寺に良くないことがある時は鐘が汗をかいて突いても鳴らず、 また良いことがあるときには自然に鳴ると伝えられる「弁慶の引き摺(ず)り鐘」があります。今は霊鐘堂に奉安されています。

旧竹林院

旧竹林院の入り口

盆梅展
見事な庭園を背景にした「坂本盆梅展」
ひな人形
西教寺で開催されるひな祭展
提供:びわ湖大津観光協会

少し足を伸ばして、
ひな人形展と甘い香りが漂う盆梅展へ

比叡山のふもとにある大津市坂本は、古くから門前町として栄えた地。国の伝統的建造物群保存地区に選定されています。

日吉大社参道付近には、「穴太衆積み(あのうしゅうづみ)石垣」に囲まれた里坊が点在しています。

坂本盆梅展」が開かれている旧竹林院も、そのひとつで、邸内には、八王子山を借景にした3300平方メートルもの広大な庭園が広がっています。

盆梅展の会場に入ると、ピンク色をしたかわいい梅の花が出迎えてくれます。今年は寒波のせいか、まだ、つぼみは堅いようですが、顔を近づけると、ほんのりと甘い香りが漂っていました。

「盆梅展の発祥の地は大津で、大正時代の初め、大津の膳所にいた生駒晴彦氏が『梅仙窟(ばいせんくつ)』と名付け、自宅で盆梅を並べて公開したことにはじまります。
この坂本盆梅展は、地元のひわだぶき職人だった河村庄太郎さんが、丹精込めて育てた60鉢です。趣味とはいえ見事でしょう」と、館長の冨田和男さん。

盆梅を楽しむポイントは「河村庄太郎さんのセンスが生きる梅の枝ぶりと、花の付き具合」なのだとか。特に、同じ木から白やピンクの花を咲かせる「咲き分け」や黄色の「黄梅」は必見。2月中旬から下旬が見頃なので、一足早い春を味わってみてはいかがでしょう。


また、旧竹林院から1キロほど離れたところにある「西教寺」では、「人形供養法楽」にちなんだ「雛人形展」が開催されます。ひとつひとつ表情が異なる約500体のひな人形の中には、江戸時代のものもあるとかで、見る価値ありそう。

期間中は、おひな様をテーマにした精進料理「雛御膳/一人前2000円(予約制)」も味わえるようです。

上 霊鐘堂に安置されている弁慶鐘
右 弁慶の引き摺り鐘(重要文化財)
 
   
観音堂から見たびわ湖。桜の開花が待ち遠しい 階段を上り観音堂へ(西国第十四番札所)
盆梅展

2月現在の「琵琶湖疏水」。春にはライトアップされ、夜桜が楽しめる

甘い香りが鼻をくすぐる
三井寺名物は、あんこたっぷりの「弁慶の引釣鐘饅頭」 三井寺前の和風レストラン「風月」で、大好物の鳥なんばうどんに舌鼓
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西教寺
西国三十三箇所観音霊場の第十四番礼所として信仰される観音堂 盆梅展の入り口で出迎えてくれる、かわいい梅の花