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福祉史跡ツアー(2009/12/08)

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日本初の夜間保育園「だん王保育園」
(京都市左京区)

 都市としての歴史が長い京都は、日本の社会福祉事業でも先駆的な役割を果たした。この京都の福祉の歴史を多くの人に知ってもらおうと、京都府社会福祉協議会、京都ボランティア協会、トップツアー京都支店の三者が「福祉史跡・事跡をめぐる旅」ツアーを企画、京都府社協が提唱する「地域展開型CSR」活動の一環として取り組んでいる。

 地域展開型CSRは、企業が社会的責任(CSR)を実現するため、地元地域の福祉関係の組織や施設のパートナーとなり、本業の強みを生かしながら地域の福祉向上やまちづくりなどに取り組む。

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にぎやかな「春日デイケアセンター」
(京都市上京区)
 企業側もCSRへの関心が高まっており、京都府社協は、きょうと福祉パートナー推進事業チームを立ち上げ、企業と福祉の橋渡しを進めてきた。

 京都ボランティア協会は、京都の福祉を知ってほしいと、6年前に「京都福祉史跡&事跡ガイド」(500円)を発行し、その活用方法を探ってきた。一方、京都府社協には、全国の民生委員や福祉関係者らから、京都での視察場所などの問い合わせがよく来る。この両者と、施設のバリアフリー情報などを持ち、ツアー手配はお手のものの旅行会社が手を結んで、今回のツアー企画がスタートした。

 ガイドには、多くの宗教者が残した福祉の足跡、日本で初めて障害児教育が始まった京都盲唖(もうあ)院跡、日本最初の社会福祉協議会である京都府社協、日本初の身体障害者施設である「こひつじの苑」、戦後まもなく京都の学生が呼びかけた非行少年の更生をめざすBBS運動の発祥地、日本で初めて夜間保育園を開いた「だん王保育園」、京都市の小学校区の団結力が生きる「春日デイケアセンター」など、奈良時代から現代に至る40カ所が紹介されている。

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ひっそりと立つ盲唖院跡の石碑(京都市中京区)
 ツアーでは、見学可能な福祉史跡・事跡をめぐるとともに、京都の福祉施設が運営する飲食店や売店に食事やお土産を買うために立ち寄り、売り上げ増に貢献しながら就労の実際を見ることにしている。

 トップツアー京都支店福祉チームの沢井裕之リーダーは、「現在はまだPRの段階ですが、豊富な素材を生かし、参加者の希望にあわせたオーダーメードツアーを提案したい。わが社全体の社会貢献事業として、全国で同様のツアーを企画していく計画です。いつまでも続く息の長い取り組みにしたい」という。京都ボランティア協会の小谷節子理事は「京都の良さを全国に発信したい。ボランティアガイドの養成も考えたい」と期待している。京都府社協の菊本隆博主事は「見学できるところを増やしたり、障害者雇用の現場なども見られるようにしていきたい」と話している。