トピックス

公益財団法人への寄付
個人ならより節税
税制控除導入で優遇幅広がる
(2011/09/27)


 本年から、京都新聞社会福祉事業団など一定の公益財団法人に個人が寄付する場合、税額控除が選択できる。従来の所得控除に比べ原則として控除の割合が大きくなるのが特徴だ。

 所得税の税額控除の計算式は[(対象寄付金―2000円)×40%(0.4)]

(所得税額の25%が限度)。控除対象となる寄付金は所得の40%が限度となる。

 例えば、5万円の寄付をした場合、計算式を当てはめると1万9200円が控除される。

写真
善意の寄付金を受け取る京都新聞社会福祉事業団職員(右)。税額控除の導入で優遇されるようになった


税額控除の計算式(5万円の寄付をした場合)

所得税(当年度分)※1
(5万円−2000円)×40%=1万9200円

住民税(都道府県民税、翌年度分)※2
(5万円−2000円)×4%=1920円

住民税(市町村民税、翌年度分)※2
(5万円−2000円)×6%=2880円

軽減される税の総額・・・・・・・・・・2万4000円

※1課税所得金額によって減額となる場合もある
※2寄付先が条例で指定されていなければ控除対象にならない


 年収480万円の単身のサラリーマンを例にモデル計算すると、給与所得控除額と社会保険料など各種控除を除いた課税所得金額はおよそ220万円。従来の所得控除の場合、控除税額は4800円だったのに比べ、控除税額は1万4400円増え、節税効果が上がる。

 ただし、寄付者の課税所得金額によっては節税効果に差が出ることもある。

 所得800万円の自営業者、サラリーマンの場合も税額控除の場合の控除税額は1万9200円で、従来の所得控除の場合に比べた控除税額は9600円大きくなる。

 さらに都道府県や市町村の住民税も控除対象となる。都道府県民税の軽減される税額は[(寄付金―2000円)×4%(0・04)]、市町村税は[(寄付金―2000円)×6%(0・06)]また、公益法人が控除対象となるには条例によって指定される必要がある。ただ京滋では条例自体が制定されていない自治体も多い。京都新聞社会福祉事業団は、京都府、京都市、京丹波町の控除指定を受けている。

 東日本大震災への救援金については、「地方公共団体(被災県)」を通じた被災者への義援金として別の所得控除が適用される。

 堀田力・さわやか福祉財団理事長に聞く
  信用ある中間支援団体の育成を


 今回の寄付金に対する税額控除導入について、さわやか福祉財団の堀田力理事長=写真=は「全体として、民間の意思を重んじるいい仕組みになった」と評価する一方「信用ある中間支援団体の育成が課題」と述べた。

 堀田さんは「欧米に比べればまだまだだが、『新しい公共』の考え方が下地になって政府や財務省の姿勢が変わった」とした。

 さらに課税の考え方として「行政が対応できないところに困っている人がいる。そこでNPO法人やボランティア団体が代わって活動しているのだから、そこへの寄付金には税を優遇するのが当然」とする。

 また東日本大震災でも、日本赤十字やNHKに多くの義援金が集まっていることを例に「こうした団体は信用はあっても仕事が遅いのが難点」と指摘。必要なNPO法人などに寄付金を迅速、的確に流すことができるよう、公益財団法人京都新聞社会福祉事業団をはじめ、募金団体など中間支援団体の役割を強調した。