京都新聞社と京都新聞社会福祉事業団は今月初め、宮城、福島、岩手の被災3県に、3回目の救援金を寄託した。宮城、福島両県には、事業団の増田正蔵理事長が3県の被災地を視察したあと、手渡した。大震災発生から7カ月が過ぎ、被災県では、市町村の義援金(救援金)窓口の態勢は整ったとして、被災者に確実な配布を約束した。
宮城、福島、岩手3県への第3次分
5日朝、仙台市の宮城県庁を訪れた増田理事長は、三浦秀一副知事と面談した。
増田理事長が「京都や滋賀などの多くの皆さまから、被災者の支援を託されました」と切り出すと、三浦副知事は「継続的な支援に心から感謝しています」と応じた。
救援金の配分状況について副知事は「被害が大きかった地域ほど、市町村の職員の被災も多く、義援金支給が困難な地域もあったが、態勢は整ってきました」と伝えた。
同理事長が「被災者に届くよう、お願いします」と救援金8千万円(小切手)を手渡すと、副知事は「迅速、公平性をもって届けます」と約束した。
県によると、中央の義援金受け付け団体(日本赤十字など)を通さず直接、宮城県に届けられた義援金(同事業団分を含む)は、総額約230億7260万円。県は、このうち81%を市町村に送金し、残りは送金を留保している(10月7日現在)。
留保の理由について県保健福祉部は「今も罹災(りさい)証明申請が続いているため」としている。
また、市町村に送金した義援金のうち、被災者に届いたのは約173億4497万円で、支給率は93%に達している(同)。
一方、この日午後には、福島県庁を訪れ、救援金7千万円(同)を県健康福祉部の五十嵐宏治次長に手渡した。
全国から福島県に直接、寄託された義援金総額は約172億3134万円で、94%が市町村を通じて被災者の手元に届いている(9月30日現在)。
福島県では、原発事故による放射能汚染で、県外への避難者が増えている。京都府、滋賀県の調べによると、避難者は京都府(781人)や滋賀県(421人)でも増加傾向にある。
五十嵐次長は「義援金とは別に基金を設けるなど、県外避難者にも支援策を検討している」としている。
岩手県の義援金募集委員会には7日、救援金6千万円を送金した。
県に直接、寄せられた義援金は約158億8552万円で、市町村に送金した額は約130億8673万円。そのうち82%が被災者に届いたとしている(10月7日現在)。
県復興局は「家族の事情で死亡・行方不明の届けが出せず、義援金が受け取れない住民もいる」としてる。
3県は、いずれも震災孤児・遺児支援のために、独自の基金や寄付金受け付けの制度も設け、寄付を募る。
総額14億6000万円、3次分は2億1000万円
京都新聞社と同事業団に寄せられた東日本大震災救援金は、10月14日現在で総額14億7170万5335円(9398件)にのぼる。
救援金は、被災者の手元に届くよう、すべて被災自治体(県)の災害対策本部や災害義援金募集委員会に直接、送金している。
県では、被災した市町村の窓口業務の回復状況を確認しながら配分している。
県への送金は、第1次(4月15日)、2次(5月31日)に続き、今回が3回目。第1次では同事業団からも300万円を寄託した。
被災県への救援金の配分割合は被災規模、状況などに応じて当事業団が判断している。
東日本大震災救援金の送金・寄託状況
|
第3次分 |
第2次分 |
第1次分 |
合計 |
宮城県 |
8000万円 |
1億8000万円 |
2億7000万円 |
5億3000万円 |
岩手県 |
6000万円 |
1億4000万円 |
2億2000万円 |
4億2000万円 |
福島県 |
7000万円 |
1億円 |
2億2000万円 |
3億9000万円 |
茨城県 |
なし |
2000万円 |
4000万円 |
6000万円 |
千葉県 |
なし |
1000万円 |
2500万円 |
3500万円 |
青森県 |
なし |
なし |
2500万円 |
2500万円 |
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計 |
2億1000万円 |
4億5000万円 |
8億円 |
14億6000万円 |
現地の惨状を実感 今後も橋渡しを
増田正蔵・京都新聞社会福祉事業団理事長
京都や滋賀の皆さまから寄せられました東日本大震災の被災者への救援金が、確実に届けられることを願い、4、5日の両日、宮城県などの被災地を訪れました。
岩手県の内陸部から車で、沿岸部の陸前高田市に入ると、巨大津波に押しつぶされた港町の荒涼とした風景が飛び込んできました。
宮城県の気仙沼市、南三陸町など沿岸部の街は、跡形もないほど崩れ、地震・津波による被災規模の大きさを実感しました。被害状況は新聞、テレビの報道からは知り尽くせない広範囲なものでした。
福島県では、原発事故の計り知れない影響を受けていました。
宮城、福島の両県庁では、皆さまからの尊い救援金を手渡し、被災県からは迅速、確実に被災者の手元に届けることをお約束いただきました。
これからの冬の寒さを迎える被災者の暮らし、そして復興への険しい道のりを思うと、支援の大切さを改めて強く感じています。これからも京滋の皆さまと被災地を繋ぐ役割を果たしていきたいと願っております。