特集 大震災被災者支援を助成

京都新聞社会福祉事業団

自立へさらに後押し
2012年度京滋19団体と7奨学生(2013/04/02)


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仮設住宅の被災者と一緒に餅つきを行う京都生協のメンバー(2011年12月3日、宮城県登米市南方町)
 京都新聞社会福祉事業団は2012年度の1年間、「京都・滋賀における東日本大震災被災者支援プログラム」を組み、助成事業でNPOや避難者のグループなど計19団体の活動を支援した。避難者の就労や交流・相談の場づくり、子育てサークルの応援、福島県の子どもたちを招いたキャンプ・野外活動…。その活動からは京滋の民間団体の支援の広がりも見えてくる。

 同事業団は12年度と13年度の2年間にわたり、「福祉活動支援助成」「後援助成」「子育て仲間応援」「愛の奨学金」の4分野の事業で支援プログラムを組んでいる。


就労バックアップ、交流も

〈福祉活動支援助成〉

 京滋で活動する福祉団体、グループ、施設の年間活動を支援する事業で、被災者関連では計6件に、229万円を助成した。避難者同士の交流を深めるとともに、生活の自立を目指す活動もあった。

 小さな子を連れて避難した女性を対象に、「ハイビスカス」は京都市下京区にレストランを開いて雇用するなど、京滋での生活に役立つようにと就労支援に取り組む。

 避難者がいつでも集える場があれば、との要望を受け、避難者が代表を務める「みんなの手」は地域に向けての発信と就労につながる拠点としてコミュニティスペースみんなの広場を2月、伏見区内に開設した。

 「京都生協職員ボランティア」は大震災発生後の一昨年6月初めに宮城県内の視察以降、昨年12月まで職員延べ250人以上が、南三陸町の漁場や登米市の南方仮設住宅などを訪れ、カキ養殖再開を支援するためのがれき撤去、仮設住宅でバーベキュー、もちつき大会開催などを続けている。昨年夏には南三陸町の中学生26人を京都に招いた。

 「滋賀県内避難者の会」は母親同士が交流を深め、心が通う場を持てるようにと2グループが▽福島県に野菜送付▽型染めによる手ぬぐいやスカーフの商品化─で活動する。代表の遠藤正一さん(50)は「とじこもりを防ぐのに活動が役立っています。助成金は野菜を送る費用などに充てるつもりです」と話している。


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交流キャンプで皿回しの練習をする児童ら(2012年春、高島市マキノ町)

キャンプで自然と遊ぶ

〈後援助成〉

 福祉の催しを後援し、助成金も支給する支援事業で、被災者関連では10件計52万9000円を助成した。

 本年度は、福島県の福島第1原発事故による放射能の影響で屋外での遊びを制約されている子どもが多くいることから、自然の中で遊んでもらおうと屋外キャンプに招待するグループが多かった。その一つ「びわこ☆1・2・3キャンプ実行委」世話人の一人、川崎松男さん(68)は「送迎のバス代や食材・宿泊費などの一部に役立てました。今後も福島のことを忘れないようにしたい」と話している。

 また、日ごろ周囲と交わりの少ない高齢の避難者が、相互に交流を深めるための紅葉散策の催しや、避難者と地元住民の交流を促進する活動もあった。


心のケアにひと役
アートや万華鏡

〈子育て仲間を応援〉

 地域での子育ての輪を広げるのを目的に、子育て中のお母さんたちのグループに1団体2万円を助成する事業で、被災者関連では3団体に計6万円が支給された。

 被災して生じたストレスや不安、悲しみ、恐怖などの感情を、アートにして開放してもらうワークショップを開く「色のアトリエ」や、万華鏡を介して東北と関西の子供たちの交流や心のケアを図る「万華鏡コミュニケート」などに助成した。


感謝のメッセージも

〈愛の奨学金〉

 2012年度京都新聞「愛の奨学金」東日本大震災避難者給付分として、大学生1人(14万4000円)、高校生6人(一人7万2000円)の計57万6000円を給付した。

 うち2人からは「避難して来た時は勉強どころではありませんでしたが、奨学金で生活面、学習面とも助かりました」「奨学金は大学や専門学校への受験料に充てました。夢に向かって学習に励みます」とメッセージが届いている。



助成対象の震災被災者支援団体と代表的な活動

【福祉活動支援助成】

特定非営利活動法人ハイビスカス

避難者が働くレストラン開設

京都YWCA親子ライブラリー

避難者親子に「こどもまつり」

避難者と支援者を結ぶ京都ネットワークみんなの手

カフェで情報発信や就労支援

NPO法人エンゼルネット

避難者の保育支援など

東日本大震災復興支援京都生協職員ボランティア

被災地のカキ養殖再開、仮設住宅での支援活動

東日本大震災滋賀県内避難者の会

避難してきた母親に集いの場

【後援助成】

びわこ☆1・2・3キャンプ実行委

被災地の子らを招きキャンプ

信楽自然育児サークル  なちゅらるまま

被災地の子らを招き保養ショートステイ

絆キャンプin同志社実行委

被災地の子らを招きキャンプ

龍谷大復興支援プロジェクト東北こども会

避難者と被災地の子らでキャンプ

京都華頂大・華頂短大

被災地でボランティア活動

健生ネットワーク京都

避難者と地域の絆づくり

向島駅前まちづくり協議会

同   上

「普通の生活」滋賀上映実行委

ドキュメンタリー映画上映

NPO法人一歩の会

高齢避難者の交流機会づくり

府避難者支援プラットフォーム

避難者の相談・交流会開催

【子育て仲間を応援】

万華鏡コミュニケート

万華鏡づくりで心のケア

色のアトリエ

つらい感情をアートで開放

ママ’sアクション!

母親仲間でボランティア