ともに生きる・福祉のページ
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。

淡海ネットワークセンター


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滋賀の市民活動について到達点から今後を討論するフォーラム会場(大津)
 滋賀県の自主的、非営利の社会活動を支援する淡海ネットワークセンター(大津市)が設立10周年を迎え、記念フォーラム「地域をみつめて。おうみの市民社会のカタチ〜これからの10年を創る」を、このほど、大津市のピアザホールで開いた。基調講演のあと4分科会に市民運動に関わる人たちが参加し、10年後の市民社会への課題について意見を交わした。

設立10周年フォーラム 市民活動の未来探るく
 同センター(財団法人淡海文化振興団体の愛称)は1997年設立。地域作りに向けた人材育成や市民活動の活性化、情報提供、地域創造など事業を行っている。

 北村裕明滋賀大教授の「おうみの市民活動の到達点と今後の課題」との講演から開幕。この10年で95号発行した機関紙、また市民活動団体が交流する定例催し「屋台村」は、今ではなくてはならないものに育っていることや、人材育成塾が高い評価を受けていると報告。今後の課題として▽市民による街づくりの促進▽中間支援センター活動▽市民活動から市民事業への進展などを挙げた。

 基調講演は、全国の特定非営利活動法人(NPO法人)を支援活動する川北秀人さん(人と組織と地球のための国際研究所代表)が「地域と市民が織りなす、これからの市民社会」とのテーマで話した。この10年間の大きな変化として阪神淡路大震災に伴うボランティアの存在感、特定非営利活動促進法(NPO法)制定、インターネットによるコミュニケーション進化、介護保険や支援費などの新たな法整備を掲げた。

 その中で全国で設立されたNPO法人は、現在約31,000団体だが、月間申請数はピーク時より半減。またNPOが地域の担い手になれていないと現状を指摘。その中で地域資源や障害者の力を生かしたり、地域の企業と協力する活動例などを紹介しながら、地域ニーズに応え続けることが大事だと力説。ついでコミュニティー・ビジネス、社会事業家に注目し、商品づくり、事業化、地域力活用などのカベを乗り越える必要があると今後の方向を示した。

 このあと「地域自治」など4分科会での意見を元にしたパネル討論へ。まず北村裕明さんは「市町村合併のあと、地域の新たなガバナンス(自治)の運動、あるいは条例や制度が必要になっている」と課題を提示。森川稔さん(滋賀県立大助教授)は「市民運動は、やはり楽しくないといけない、と再確認できた」と討論結果を報告。

 佐野章二さん(有限会社ビッグイシュー代表)は「NPOは社会変化の対応に立ち遅れている。NPOは10年経過し、使命を見直す時期にきている」と問題提起。最後に川北さんは「NPOには求められる公益に応える使命がある。活動の継続より成果にこだわる方が望ましい。地域の課題に一歩でも踏み込んでほしい」と結んだ。

<メモ>淡海ネットワークセンター
大津市におの浜1―1―20 TEL.077(524)8440