ともに生きる・福祉のページ
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「合唱や演奏会 癒し効果で輪」

人気集める音楽ボランティア(2006/04/18)


写真 歌や音楽演奏を通して人と人の心をつなぎたい─という音楽ボランティアの希望者が増えている。こうしたボランティアを養成するためNPO法人(特定非営利活動法人)音の風は3年前から、京都市内で音楽ボランティア養成講座を開催している。受講者らによる施設や地域での活動は毎月40件近くにのぼる。音楽ボランティアに参加する人施設やが広がり、障害のある人や高齢者を癒す音楽の役割が確実に大きくなっている。(写真=音楽ボランティア講座の修了コンサートで、参加者と一緒に歌う受講者ら)


 3月初旬、京都市下京区のひと・まち交流館京都で、音楽ボランティア養成講座修了コンサートが開かれた。昨年10月から開催してきた10回シリーズの最終回。約60人の受講生が、音楽療法や手話歌唱などのグループに分かれて歌などを披露、会場を盛り上げた。

 音の風が最初にこの講座を始めたのは2003年の秋。代表の西野桂子さん(38)らは、施設で演奏するなどボランティア活動をしていたが、音楽ボランティアを求める施設が多いことから、仲間づくりのために養成講座を開いた。

 最初の年は70人が受講した。講座の内容は、音楽ボランティアの活動紹介から音楽療法の勉強、高齢者や障害のある人との音楽活動、ボランティア活動のプログラムづくりなど。受講者はそれぞれ歌やピアノ、バイオリン、ギターなど、得意なジャンルを生かして活動に参加しようとする人が多い。特別な経験がなくても、音楽が好きなので、なにか役立ちたいという人もいる。  参加希望者は多く、3年間で約200人にもなった。西野さんは「自分の得意なことを生かして社会貢献をしたいと考えている人が多いことを実感しました」と、音楽ボランティアの広がりを話す。受講者の長井喜久子さん(40)や中村幸恵さん(26)は「音楽を通して、自分もほかの人も一緒に楽しめることがうれしい」と手応えを語る。

 この講座を修了した人たちの3分の1は、音の風の活動に参加。会員は現在百六人になり、施設や病院、地域へ音楽を届ける「ミュージック・デリバリー」、中高年対象の「ピアノサロン」、各種イベント参加などの活動を続けている。

 音の風のように、施設や保育園、地域でのボランティア活動に歌や演奏など音楽を取り入れるグループが多くなって来た。また音楽の持つ働きを治療に役立てる音楽療法もその効果が注目されている。

 こうした中で、障害のある人たちがただ聴くだけではなく、自ら音楽活動に参加できるイベントを求める声が強くなっている。音の風では、今年12月に障害のある人も一緒に歌い、演奏するイベント「スマイルミュージックフェスティバル」の開催を計画している。音楽ボランティアも、一方通行ではなく共に楽しむ方向を模索しているようだ。西野さんは「半年以上かけて障害のある人をサポートし、一緒に演奏できるコンサートを実現したい」と、新しい目標に向けて活動を始めている。