ともに生きる・福祉のページ
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企業の社会貢献

写真 〜滋賀県社協などセミナー〜

NPOとの連携探る(2006/06/13)


 滋賀県社会福祉協議会淡海フィランスロピーネットは「企業・団体の社会貢献活動セミナー」を、このほど、大津市内で開いた。NPO法人(特定非営利活動法人)、金融、企業の担当者を招いたパネル討論「誰もが安心してくらせる地域社会の構築に向けて」を通して、福祉活動を進めるために企業と民間団体との相互理解や協力・提携の方法などを話し合った。会場の参加者からも意見が交わされ、真しな討論の場となった。

 最初にNPO法人きょうとNPOセンターの事務局長の深尾昌峰さんが基調講演。ボランティアといえば以前は「かわいそうな人のために何かしてあげる」という自己犠牲、自己滅却の奉仕型が見られたが、最近は「自分の居場所を確かめながら、楽しんでいる」という自己実現型が目立っていると報告。またNPOという言葉が世の中に知られてだしてわずか10年だが、日本では、講や明治初年の京都の小学校を町衆が運営した事例などがあり、市民の公益活動は脈々と行われてきた、と指摘。一方、企業はCSR(企業の社会的責任)を考え、NPOとの関係を模索しているが、まだまだお互いのコミュニケーション不足。社会貢献へ互いに連携できるモデルを考えたい、と結んだ。

 パネルの講師、会社役員青山裕史さんは地域で経営するガソリンスタンドの利点を生かして利用者から金属缶、牛乳パック、ペットボトルなど資源ゴミを店頭で回収。最近では廃食油回収からバイオディーゼル油を再生し、地域の介護福祉施設の車の燃料に生かすなど循環型社会を地域からつくる実例を報告した。  NPOしみんふくし滋賀事務局長の成瀬和子さんは重症心身障害者施設「びわこ学園」の建設資金を募るイベント「抱きしめてBIWAKO」(1987年)をきっかけに市民福祉に取り組んだ。介護保険法施行の前からホームヘルプ事業を始め、九九年県内第一号のNPO認証。ついで居宅介護事業所を営み、最近では近江八幡市の町おこし事業と提携して空き家になっていた民家を利用してデイサービス、文化事業まで活動している。福祉に携わるNPOとして「市民ニーズに基づく活動を」と話した。

 また近畿労働金庫地域共生推進センターの法橋聡さんは阪神淡路大震災以降、地域と共生する仕組みとしてNPOと幅広く連携する道へ踏み出した。NPO事業サポートローン、ボランティア・セミナー開催、情報提供、NPO活動の表彰制度、コミュニティー・ビジネス創出支援融資などの事業を進めていると述べた。NPOへの融資が、この6年間で64件、約5億円に達し、貸し倒れゼロと健全な融資状況。そして社会にいいお金(グッドマネー)が循環する流れを作りたい、と地域金融の新たな取り組みを紹介した。

 会場からの意見交換のあと、深尾さんは「企業の役割は大きいし、ボランティアに熱心な若い人たちを十分に評価し、採用してほしい。そして行政などの護送船団で守られなくとも市民自身が地域福祉のビジョンをダイナミックに実現する社会こそ求められているのではないか」と討論会を締めくくった。