ともに生きる・福祉のページ
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「地域活動、大切に」
おうみNPO政策ネット
シニア向け講演・座談会(2006/06/27)


 最初の講演は「お帰りなさいお父さん!退職男性たちの仲間づくりと地域活動」と題して、滋賀県社会福祉協議会の猪飼立子さんが近江八幡市のモデル事業の例を紹介した。2年前から県社協が同市に委託した「高齢者エンジョイ地域活動モデル」では、退職者が地域活動に定着するためのコーディネート組織づくりを最初に手がけた。養成研修を受けた地域コーディネーターが退職前後のサラリーマンなどの相談を受けたり、情報発信したり、地域活動や仲間グループへ橋渡しするなど活動。一方健康作りなどのグループを立ち上げ、仲間作りを推進。ここへ集まった人たちがさまざまな経験や趣味、意欲などとともに交流するにつれ、自発的にボランティアグループや趣味のサークルを次々に結成していると報告。「地域で暮らす人と人とのつながりが大事」と力説した。

 座談会「定年後の30年、体も頭も使って元気」では、パネラーの鳥居実さん(ゆうネットくさつサポーターの会)が「技術や知識などを持つ人に登録してもらい、それを生かすために活動を支援しているが、テーマ活動で学んだことを地域活動にどう生かしていくかが課題だ」と話をきりだした。

 ついで田中俊雄さん(草津塾)は「4年前に定年退職し、その後になにをやるかテーマ探しのため講座や研修を受けるとともに事業型市民活動をする草津塾に入った。仲間と話し合うことで新たな活動が始まり、今や活動が活動を呼び、やりがいを感じている」と体験を語った。

 また老人連合団体のパート職員小枝美代子さんは「県内各地に地域老人クラブが結成されていて、高齢者はだれでも入れます。加入すると隣近所の人と知り合え、生涯の友達になれます。入ってみて必要があれば活動内容など直してほしい。また行政はお年寄りの力を引き出しながら、高齢者が憩える陽だまりを作ってほしい」と身近な団体の意義を訴えた。

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 山口正男さん(滋賀県高齢者生活協同組合)は「60歳で定年退職したが、地域のことは何も知らなかった。最初は無償ボランティアをやったが、その後有償で活動する生協に加わった。現在、会員120人で、今後500人に増やすことと、さまざま仕事を増やして年間売り上げの1000万円突破を目標にしている。意欲のある人は参加してほしい」と活動の様子を伝えた。

 討論の末、猪飼さんは「これから定年を迎える人にとっては有償、無償を問わず、また趣味であれ地域活動であれ、どんなところでも出かけてゆくのが大事。そして人と人が出会ったあとを『つなぐ』ための工夫、組織作りが求められている。また、自分の家から歩いて行けるところに友達や仲間がいるかどうか。その問いかけは意義深いのではないでしょうか」と助言した。最後に主催団体の仲野優子さんが「さまざまな話の中から、なにかヒントが得られたら幸いです」と締めくくった。