ともに生きる・福祉のページ
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団塊の定年問題に備え
滋賀でシニア活動隊★養成塾(2006/12/12)


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 団塊世代の定年問題へ備える滋賀県主催の「シニア活動隊★養成塾」第一プログラムが、このほど、大津市の大津市市民活動センターで開かれた。企業社会から市民社会へ踏み出すシニアに向けて新たな進路を案内する試み。国内最大級の会員を持つ特定非営利活動法人ニッポン・アクティブライフ・クラブの高畑敬一会長の講演はじめ市民運動家たちの意見交換などさまざまな角度から情報と助言を提供。会場はメモをとるなど熱心な熟年層であふれていた。


企業から市民社会へ


 冒頭に同催しを委託実施する大津NPOセンターの森口行雄さんが「われらシニア、市民活動時代の役割」と題して講演。「社会を構成する一員であるという自覚をもった自立した個人」と市民の概念を前置きし、敗戦から高度成長、バブルを経て「市民活動の時代が到来した」と時流を示しながら社会的起業の実例を紹介。「新しい公共の担い手」とシニアの役割を指摘した。

 続いて高畑敬一さんが「深刻化する少子高齢化とシニアの生き方」との題で基調講演した。松下電器の労組活動から役員を経て定年後に市民活動を始めた経過を紹介。枚方での高齢者介護から始めた市民運動が、12年後の現在、全国に121拠点、会員約26,000人までに成長。「時間預託」制を中心にして高齢社会での相互援助をすすめている実情を伝えた。

 また同会の熟年者調査の結果から「団塊の世代は定年後の生活に不安を感じていて、自由業や自営業などマイペースでフルタイムではない形で働きたい。趣味、旅行、健康作りに関心が高い」と他の世代との相違があるとし「今後の市民活動が期待できる」と予測。「やさしい心さえあれば、だれでも活動できる」と同世代へ激励のことばを送った。

 その後、「社会がシニアに期待するものは? シニアが地域に貢献するには?」とのテーマで意見交換会。パネラーの森井俊さん(おおつ環境フォーラム副代表)が定年後に始めた市民環境運動の経験を、吉田栄治さん(白鳥川の景観を良くする会)ら3人が近江八幡での退職者グループによる市民活動の実情を報告。ついで外池和彦さん(ライフステージ支援ネットワーク)はキャリアコンサルティング、人材紹介・派遣、自立塾など活動を紹介。中井まりえさん(日吉台の福祉を考える会)は、身近な高齢者の問題に取り組んだ住民運動の経過を伝えた。この中で「ボランティアは、してやっているのではなく、させていただいてるという気持ちを忘れないで」「子どもの家庭教育が大事なときにボランティアをやるお父さんは子どもにとって、頼もしく良い影響を与える」「あれこれ考えるよりも、実際に動きだし、一歩踏み出してみてください。そこから、なにか見えてきます」などとメッセージを贈った。

 この第一プログラムの後、希望者は次のプログラムの「ボランティア・NPO体験学習」に参加する。県内の市民グループが活動する現場に出かけ、そば打ち、町づくりのためのサイクリング、生ごみ堆肥化、布絵本作成などを試みる。

〔メモ〕大津市市民活動センター連絡先 TEL.077(527)8661