ともに生きる・福祉のページ
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広がる滋賀のボランティア
草津で交流(2006/12/26)


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 滋賀県ボランティアの大きな集会、「きづき・きっかけ・きずなボランティア2006」(同実行委主催)が、このほど、草津市の滋賀県立長寿社会福祉センターで催され、県内各地から約480人が参加した。今回2回目で「つくろう、誰もが安心して暮らせるまちを!」とのテーマのもとに記念講演、分科会、オープンスペースと多彩にプログラムが組まれ、参加者は、情報を交わすとともに交流や相互理解を深めた。


相互理解さらに深め


 講演は津止正敏・立命館大教授が「いきいきとボランティア活動」と題して行った。その中でボランティア観が従来は「自発性・無償性・公共性」を主な要素としていたが最近は「学習性・非営利性・自己実現性」へ転じ、一般の理解や受けとめ方にも「ゆらぎ」があると指摘。一方で少子高齢化社会とともに夫婦とこども2人の「標準世帯」が少なくなり、現在はシングル、高齢夫婦、標準世帯がそれぞれ3分の1へ変わった。

 その中で男性の一人暮らしは「親友がいない」41%(女性は22%)、「近所づきあいがない」24%(女性9%)と孤独な状況をデータから明かした。同時に食事など家事全般が家庭外へ「外部化」されるとともに犬の散歩、話し相手、買いものなどボランティアへのニーズが多様化しているという。

 また、熟年者の多く住むあるマンションでは大型ゴミの処分や家具の移動や一人暮らしの人への給食など相互扶助の交流を活発化させたところ、「住みやすい」と評判を呼び、同マンションの資産価値が上がったという事例を紹介。

 次いでボランティアの新たな役割として「世代をつなぐ」とのキーワードを掲げるとともに「地域に根ざした重層的なネットワーク、多世代交流のあるコミュニティーを」と話しかけた。

 分科会は「多文化共生」「発達障害・児童虐待」「施設ボランティア」「災害支援」など6つ。「災害支援」には阪神淡路大震災を経験した尼崎市東園田町自治会の代表を交えながら、自主防災活動のバージョンアップについて話し合った。「発達障害・虐待」分科会では井深允子・滋賀県発達障害者支援センター所長の発達障害についての講演を受けて、ボランティアの大学生などがサッカーや家庭教師など自分の特技など生かし、生活支援の様子を報告した。

 オープンスペースでは「炊き出し訓練と試食」「環境トークと環境体験」「布絵本・手作りおもちゃ作品展示」などが催された。環境トークでは琵琶湖の水生植物ヨシから作った笛の演奏が行われ、澄み切った独特の音色が聴衆を楽しませた。さらに布絵本会は手作りの体験として、来年のエト「いのしし」試作を指導。参加者はフェルトでぬいぐるみを作り、綿を中身に入れるなど実作に励んでいた。

 一日の集いを通して「ボランティアの広がりの輪を参加者がお互いに確かめられた」(県社会福祉協議会ボランティア担当、高橋宏和さん)ようである。