ともに生きる・福祉のページ
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災害から命を守る
大津で減災フォーラム(2007/02/13)


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 滋賀大と防災士滋賀県支部主催の「減災フォーラム」が、このほど大津市内で開かれた。12年前に起きた阪神大震災をきっかけに創設された防災士たちが「大切ないのちを守りたい!」とのテーマを掲げ、琵琶湖西岸断層の活動により発生が予測される大規模な災害へ備えていく企画。新たな方式による救命講習や体験会、記念講演や減災活動の事例報告やグループ討論まで、多彩な内容の催しとなった。


救急知識の大切さ確認

 特定非営利活動法人日本防災士機構(本部・東京)は、防災士の任務を「平時は防災意識の啓発や救急救命知識の普及などに努め、災害発生時は公的な救援が到着し、十分に機能を発揮するまでの間、地域の要請により避難誘導や救助・救命、避難所の世話などに参画する」としている。現在、同機構が認定する資格の取得者は全国で約15,000人。滋賀支部は昨年3月発足し、大住光男支部長ら27人。

 フォーラムの午前中3時間は「特別技能講習と体験会」。岡雅之さん(大津市消防救急隊)が最新の救命法について映像やパンフレット資料などを使って教えた。このなかで「119番通報のあと救急車が到着するまで平均6、7分は掛かるが、呼吸が止まると3分で脳の損傷が始まる。だから心肺蘇生の応急手当てをしないで助かる人は、まずいない」などと指摘。

 続いてグループごと人形を使っての人工呼吸と自動体外式除細動器(AED)の使用法を実習した。AEDは心臓に電気ショックを与えて蘇生させる装置で、〇五年夏から救急救命士についで一般人も扱えるようになった。このため最近では公共施設、JRの主要駅や大型商業施設などに普及し始めている。参加者たちは機器の音声ガイドに沿って操作し、生死にかかわるという臨場感のある真剣な実習となった。

 午後からの講演は東郷正美法政大教授が「琵琶湖西岸断層帯地震と東南海・南海地震」と題し、マキノから大津・膳所に及ぶ六十`の琵琶湖西岸断層は「日本の内陸部では最大級となる、マグニチュード7・8クラスの大地震を発生させる能力を持つ」と診断。また過去の断層の実地調査から地震の起きた年代を測定し、次の活動時期の推定から地震の発生確率を割り出しているなどと解説した。次いで滋賀県が一昨年に公表した被害予測(全半壊棟約89,000〜十万棟、死者約650〜1,300人など)の他に開口地割れなど地表変位、地滑り、山地の崩壊、土石流などの被害の可能性があると警告し、防災の備えの重要性を力説した。

 ついで事例報告では市民ボランティア円山忠昭さんが瀬田小の五、六年生が近くの断層見学や神戸・淡路へ修学旅行先の切り替えなど系統的な防災学習の成果を発表したほか、小寺実さんは自主防災研究会により防災啓発、イベントでの啓発活動を、また湖国木造住宅耐震研究会の岩波正さんが住まいの基礎知識とともに住宅の耐震化についての勉強を推進する必要性を、それぞれ報告した。

 その後、参加者たちは、関心のある報告ごとにグループを作り、それぞれの立場から意見を交換し、地域から「減災」を考える場となった。