京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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認知症支援
100万人サポーター養成(2007/02/20)
認知症への理解を深め、認知症の人や家族を地域で支えていこうと、全国で認知症サポーター養成の取り組みが進んでいる。目標は全国で100万人。京滋でも、京都市が1万人など、各地でサポーター養成を目指している。各地域や職場単位で講座が開かれ、受講した人たちがサポーターとして、認知症のお年寄りやその家族らに温かい目を向けている。
100万人のサポーター養成は、厚生労働省が「認知症を知り、地域をつくる10カ年」構想の一環として、「認知症サポーター100万人キャラバン」事業を始めた。認知症の人は現在、全国で169万人、京都市では24,000人といわれ、20年後には全国で2倍に増えるとみられている。このため、2009年までに、全国でサポーターを100万人養成し、認知症になっても安心して暮らせる町を目指している。
各都道府県や市町村で取り組みを始め、例えば京都市は4年間で1万人、滋賀県の近江八幡市、東近江市、竜王町、日野町、安土町の2市3町でつくる東近江福祉の地域づくり推進協議会では3000人のサポーター養成を目標にしている。
京都市内では、昨年6月からすでに30回以上の「認知症あんしんサポーター養成講座」が、自治会や職場、サークル、NPO(民間非営利団体)などの単位で開かれている。そこに京都市長寿すこやかセンターがサポートリーダーと呼ばれる講師を無料で派遣、認知症について学んでいる。
1月下旬、京都市南区の京都テルサで京都市福祉事務所職員を対象に開かれた養成講座には約50人が参加した。6、7人のグループに分かれて、認知症を抱えて生きること、認知症という病気の理解、認知症の人とのかかわり方などについて勉強した。
京都市内では、この養成講座をすでに2,500人以上が受講してサポーターとなった。受講者にはオレンジの腕輪を渡し、サポーターであることがわかるようにしている。サポーターの役割は、まず、認知症を正しく理解し、偏見を持たずに、認知症の人や家族を温かく見守ること。そして地域や職場で自分にどんなことができるか考え、手を差し伸べる。こうしたサポーターが広がることで、認知症の人とその家族の人たちが安心して暮らしていけるまちづくりを目指している。
昨年11月、中京区の朱三学区社会福祉協議会は学区内の社協委員らを対象に講座を開いたが、前会長の山本宗雄さんは、講座開催の狙いを「地域の福祉力を上げること」と説明する。この中で、受講者は「身近な認知症のケースが出され、どう対応したらいいのかという具体的な話になるなど、有意義だった」という。
受講後、山本さんのところには、認知症の相談が2件あったという。山本さんは「サポーターが広がっていけば、さらに大きな効果が期待できるのでは。地域の福祉というのは、特に構えなくても、世間話の中で支えていけるようなことができればいいのではないだろうか。そうした助け合いが普通にできるようになれば」と話している。
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