ともに生きる・福祉のページ
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福祉ニュースから

振り返る滋賀の福祉25年(2007/03/27)

写真  第25回滋賀県社会福祉学会が、このほど草津市の県立長寿社会福祉センターで開かれた。「この25年の滋賀の社会福祉を振り返る〜新たな創造に向けて」と、全体プログラムを設け、同学会設立から25年間を回顧する試み。学会設立の際、県職員(当時、厚生省から出向)としてかかわった辻哲夫厚生労働省事務次官のビデオメッセージのほか県内の福祉関係者5人が、それぞれの現場から証言した。

 冒頭、実行委員長の鎌田昭二郎同学会副会長が「25年前に県内の福祉、教育、保健医療などで活躍する人たちが集まる学会を結成。その後発表された自由研究が1450題を超えている」と、あいさつした。


県社会福祉学会 自由研究1450題に

 シンポジウムでは、北岡賢剛さん(県社会福祉事業団)は学生時代、糸賀一雄著作集に関心を寄せたあと、知的障害者の入所施設・信楽青年寮に就職した当時のことから話した。全国各地から入寮していた人たちが、夏休みに故郷へ戻る前に暦の日付けを一日ずつ消しながら、帰る日を待ち望んでいることから、生まれ育った地域の大事さを痛感。そこから甲賀福祉圏で家族の介護負担を支援する「24時間支えるサービス」へ取り組みだした。その在宅サービスが当初25世帯から13年後の今、300世帯に普及。同時期に設けられた同圏域のサービス調整会議に地域の教育、福祉、保健など関係者が集まり、家庭だけで抱え込まないでも解決する道を探す仕組みとして機能している、と先進的な事例を報告した。

 ついで石井綾子さん(特別養護老人ホームあやめの里)は、この期間で一番変わったのが老人福祉と前置きし、老人福祉法(1963年)から老人福祉計画の策定、2000年の介護保険法までの改定とともに老人福祉への意識改革が進んだという。以前の措置入所から契約入所へ移った現在の施設の一つとして国内初のグループホーム型で全室個室の「あやめの里」(野洲市)を紹介。介護はお年寄りが主体で、家族の意向に沿ったケアプランになってきたと語った。

 三上智代さん(本福寺保育園=大津市)は戦前の農繁期に子どもを寺で預かったことから常設化し、創立から78年という同保育園の由緒を説明。この間、核家族や一人親など家庭環境が変わり、幼稚園が定員割れする一方で保育園が不足となった。働く母親の要望から同園でいち早く始めた乳児保育が増加し、また30年前からの障害児保育も順調に継続していると伝えた。

 成瀬和子さん(特定非営利活動法人しみんふくし滋賀)は20年前、福祉施設の新築移転費用を支援する企画「抱きしめて琵琶湖」をきっかけに有志が集まって福祉活動を開始。手始めのホームヘルプサービスから24時間の保育支援、介護保険に伴ってデイサービス事業を始め、近江八幡市内の空き店舗を利用したたまり場の創設など多彩な活動を紹介。「必要なことを見つけ、一生懸命やるだけ」といい、最近の年間事業費が3億円に進展していると話した。