ともに生きる・福祉のページ
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やすらぎトーク

「何でもやらな 始まらない」

 ディスクジョッキー 谷口キヨコさん (2006/05/09)


写真  何でもやってみなわからへんし、食べ物は食べてみなわからへんでしょ。若い人はそんなに大層なことでなくていいから、出来ることは全部やってみてほしい。そうでないと、こじんまりして話のネタのない大人になるのが一番かっこ悪い。私はがんばるの大好き。がむしゃらに、がんがんに、という方だし、人間はがんばって報われると思ってる。でもそういうのは、口に出さず、さらっとしてるのがかっこいいとも思ってますけどね。

《谷口さんは「キヨピー」の愛称で親しまれるディスクジョッキー。エフエム京都など関西のFMラジオを中心に活躍している。甘くてややテンションの高い声、関西弁の飾らないトークは聴く人を元気にさせる。特に若者には人気が高い》

 デビューしたころ、FMはみんな標準語でしゃべってて、私もそうあろうとしてたんです。ある時、一人で8時間の番組を担当することになった。8時間もしゃべってると、つい本音も出るし、ふだんの自分にならないと続かない。やってるうちに、それが結構面白いということになって。それからですね、今のようなスタイルになったのは。
 しゃべるのは好きです。小さいころから、家でよくしゃべってました。三人家族で、ご飯の時もよくしゃべってたし、食べ終わっても、テレビを見ながら話してました。昔から、人はしゃべって楽しくするもんやと思って育ってきましたから。

《宝塚市出身の谷口さんは、京都産業大に進み、卒業後、しばらく繊維会社のOLを経験。会社を辞めたあと、名古屋市でラジオの仕事を始めた。親からは、自分で食べる能力を持つように教えられ、子どものころの夢は新聞記者になることだったという》写真


 よくしゃべる人だったけど、まさかそれを仕事にするとは思ってなかった。関西弁で自分の地を出してしゃべり始めてからですね、リスナーの反応が出てきたのは。自分のライフスタイルをそのまま伝える感じで、自然にやってるのがいいのかな。
 若い人からメールやファクスをもらうけど、今の若者は力強い感じがしない。親の世代がしっかり、ぎらぎらしてて、その反動かなと思う。がんばることをよしとしないし、しゃかりきに生きてどうなんという感じ。個人的には、そんなもんかなと思ってますね。

《自身は「がんばる最後の世代」という谷口さんだが、ラジオでは、特別にメッセージを伝えようと思っていないという。ハイテンポのしゃべりとはちょっと違うクールな一面も。彼女をよく知るラジオ局の人は「よく勉強してます。そうでないと長く続かない」という》

写真  ラジオは聴いて楽しくなってくれたらいいし、生活のアクセントとして聴いてもらったらいいと思う。 講演とかセミナーで話す機会があるんですが、そんなときにいうのは、記者にはなれなかったけど、この仕事を続けていてコラムを書かしてもらえるようになったこと。正攻法で夢はかなわなかったけど、別の形で夢がかなうこともあるんだよと、よくいいます。何をやっても無駄にはならないし、失敗してもネタになる。何でもやってみないと始まらないじゃないですか。


写真=「聴いてる人が楽しくなってくれればいい。 1日でも1年でも長くやっていたい」 (エフエム京都のスタジオ)〈写真・遠藤基成〉

(次回は弁護士浅岡美恵さん) ▲TOP