ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
わたしの現場

親や学校とも蜜に連携
障害児の放課後支援(22/03/28)

宮崎 夏子みやざき・なつこさん


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室内に設置したぶらんこで手前の利用者といっしょに遊ぶ宮崎夏子さん(15日、城陽市)=提供写真
 城陽市内で障害者らが働く作業所などを運営する「社会福祉法人みんななかま」が、2010年に開設した「放課後等デイサービスみんなのいえ」(同市久世下大谷)には、同市内の特別支援学級在校生や、支援学校に通う小中高校生ら30人が登録。放課後や長期休暇中に、おやつを食べたり遊んだり、各種活動に取り組んだりしている。

 支援員の宮崎夏子さん(40)は、設立当初からの職員で、現在は支援員や看護師計12人の束ね役、主任を務める。障害児の支援には、京都市内の大学生時代のボランティアに始まり、京都府南部の支援学校での講師なども含め約20年携わってきた。

 宮崎さんも、屋内に置いたエアトランポリンやブランコで利用者とともに体を動かしたり、河川敷での芝滑りや調理活動、たこ揚げやもちつき、水遊びなど季節に応じた遊びを行う。

 小学校入学から高校卒業の年齢まで12年間の子どもたちの成長、例えば一人で遊んでいた子が他の子と関係を持てるようになったりするのを見続けられるのが楽しいと言う。「人として豊かに育ってくれるのが願い。その育み活動を支援していると思ってます」

 また「その子らしさを受け止め、その子の居場所でありたい」「集団に居心地よく入っていける力を育てる」のも目標にしている。1日当たりの利用者10人を2、3人程度の3グループに分けて活動するようにしているのもそのため。「18歳以降に作業所などで働くようになった姿に出会ったりするのもまた楽しみ」とも話す。

 放課後等デイサービスの制度などが整ってなかった時期と比べ「ある意味で利用者さんの側が施設や実施団体を選べる時代になっている。その中で私たちは、重度や重複障害の子どもさん、コミュニケーションができにくい子らもできるだけ受け入れるようにしています」。同施設には利用登録を希望する人も多い。定員があり、また安全面も考慮して受け入れ人数には限りもあるので、待機してもらっている人もいるほどという。

 身体や知的障害以外の「言葉が十分でなく、コミュニケーションが取れない子」以前より増えており、「言葉ではなく何らかの形で発信される気持ちを理解し、受け止めることも大切なんです」と長い経験から感じている。

 「子どもさんとそれを支える家族を支えるのもわたしたちの仕事」とも言い、最近は両親がそれぞれ外で仕事を持つ家庭も増えているので、保護者の心理的な負担の軽減にもつながることを願っている。

 そのためにも、送迎時には、家庭の保護者とのコミュニケーションをとり、状態を知っておくことも大切だ。思春期などには、心理的に調子が乱れることもあるので、学校での迎えの時に先生の話に耳を傾けたりもする。一人一人の利用者はそれぞれ週に1、2度だけ曜日を決めて受け入れているので、支援員の側でも情報を共有することにも気を配っている。子どもたちをトータルで支えることの重要さをかみしめつつ、話してくれた。