ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

スクールカウンセラー

一人一人の悩み寄り添う




 スクールカウンセラーは、心理学の知見に基づき、学校内でさまざまな活動を行う専門職です。スクールカウンセラーの仕事としてまず思いつくのは、心が傷ついたり悩みを抱えたりした子どもたちへのカウンセリングでしょう。2011年3月11日、東日本大震災が発生した際にも、多くのスクールカウンセラーが東北地方各県に派遣され、被災した子どもたちの支援に当たったことは、まだ記憶に新しいところです。子どもたちのつらい気持ちをしっかりと受け止め、さまざまな相談技法を用いて、その解決を図っていくことは、スクールカウンセラーの重要な業務の一つです。その他にも、子どもの気になる習慣や行動、親子関係、子どもへの関わり方などについて保護者の相談に応じたり、教職員にアドバイスを行ったりするなど、幅広い業務を行っています。

 わが国では、1995年度に、子どもたちの情緒や行動、発達などの諸課題に対し心理学的な見立てやカウンセリングなどの専門的なアプローチを行うため、スクールカウンセラーを学校に導入する事業が文部省(現文部科学省)によって開始されました。それ以来、スクールカウンセラーは全国的に大きな広がりを見せてきました。京都市でも、95年度から配置を開始し、2015年度以降は、全ての市立学校に配置しており現在は244校で174人が活動しています。

 京都市立学校のスクールカウンセラーは全国的にもめずらしく、配置開始当初からその全てが心理学やカウンセリングに関して高い専門性を持つ臨床心理士または公認心理師の有資格者です。

 人の相談に乗るということは、案外難しいもので知識や経験がないと、かえって相手の不安な気持ちを高めてしまうことにもなりかねません。ですので、スクールカウンセラーは、上記の資格を取得した後にも、一対一での継続的な指導や、より専門的なカウンセリングの訓練を受けるなど、日々、適切な相談のための研さんを積んでいますが、カウンセリングの技法は世界中で研究が進んでいることから常に最新の知見を学んでいくことが求められています。

 一昔前とは家族のあり方も大きく変わり、核家族で子育てをすることが当たり前の時代になりました。また、地域での人と人とのつながりも薄れてきていると言われています。こうしたなか、周りにSOSを出せず子育てに孤軍奮闘しておられる保護者の方は多いと思います。全国の学校に広がりつつあるスクルーカウンセラーは、そんな誰の助けにもなれる存在として活動を続けています。

(京都市教育委員会生徒指導課)