ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

生活福祉資金貸付制度

コロナ禍 困窮世帯にも




京都市社会福祉協議会の「特例貸付」の窓口(下京区)
 生活福祉資金貸付制度は、所得が少ない世帯や障害のある方がいる世帯、療養・介護を必要とする高齢の方がいる世帯を対象に、資金の貸し付けと必要な相談支援を行うことにより、安定した生活を送れるようにすることを目的とした制度です。

 この制度の前身は、1951年頃から始まった民生委員の皆さんによる「世帯更生運動」を基に作られた「世帯更生資金」です。

 当時、生活に困窮する多くの世帯を救済するためには、相談援助を行いながら資金の貸し付けを行うことが必要であると、この運動が全国の民生委員活動の主柱に据えられました。その活動が国を動かし、55年に民生委員による適切な支援と資金の貸し付けを行う「世帯更生資金」が誕生しました。

 当初、「生業資金」「支度資金」「技能習得資金」の3資金でスタートしましたが、その後、「修学資金」「災害援護資金」などの資金種類が増え、90年には、在宅福祉を推進する観点から貸し付け対象の拡大が行われ、名称も現在の「生活福祉資金」に変更されました。その後も、「離職者支援資金」などが追加され、2009年の資金種類などの整理・統合により、現在の資金制度(福祉資金・教育支援資金・総合支援資金・不動産担保型生活資金)の体系が整いました。

 貸付原資は、国と都道府県が出し合い、都道府県の社会福祉協議会が実施主体となり運営しています。市町村の社会福祉協議会が相談窓口となり、民生委員の皆さんの協力により、見守りや相談支援を行っています。

 現在、京都府内では、後述の「特例貸付」を除くと、年間約2千件の申し込みがありますが、貸し付けの7ー8割を高校や大学に進学するための教育支援資金が占めています。

 また、1959年の伊勢湾台風以降、阪神・淡路大震災や東日本大震災など大きな災害が起きるごとに、特例貸付を行ってきました。

 昨年3月から、新型コロナウイルス感染症の影響により生活が困窮した世帯への特例貸付を行っています。自立相談支援機関などと連携し、12月末までに京都府内で約5万5千件の申請がありました。

 生活福祉資金の相談窓口は、お住いの市町村の社会福祉協議会です。密を避けるために、まずはお電話でご相談ください。

(社会福祉法人 京都府社会福祉協議会)