ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

フレイル

早めの対策で健康長寿




京都市の地域介護予防推進センターが行う運動教室(提供写真)
 フレイルとは、2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、年齢を重ねて体や心が弱り、健康と要介護の中間の状態にあることを言います。多くの高齢者は、このフレイルを経て要介護状態に至るといわれており、健康長寿の実現を目指す中、注目が高まっています。

 フレイルは、「固い物がかめない」などの口の機能の低下(この状態は「オーラルフレイル」と呼ばれます)や、仲間との交流が減って日頃の活動量が減少したことがきっかけでなりやすいといわれています。フレイルの状態では食欲が落ち、栄養が不足して筋肉量が減ります。そのため元気が出ず、さらに人との交流機会が減るという悪循環に陥りやすく、この繰り返しで要介護状態になってしまうのです。新型コロナウイルス感染症の影響で外出を控える中では、特に注意が必要といえます。

 一方で、フレイルの段階で適切な対策を行えば、健康な状態を取り戻すことは十分に可能です。そのため、「固い物がかめない」「歩くのが遅くなった」「気力がわかない」など、フレイルの兆候に早めに気づいて、対策に取り組むことが重要です。

 フレイル対策の3本柱は、「栄養と口のケア」「運動」「社会参加」といわれています。具体的には、「1日3食、バランスの良い食事を取り、食後は歯や入れ歯のお手入れをする」「屋外での散歩、家での体操やストレッチなど、意識して体を動かす」「地域活動への参加、人と会えない時にも電話で家族や友人と連絡を取る」などが挙げられます。こうした取り組みは相互に関係していて、運動で筋肉をつけるには、肉や魚、野菜などの食材をバランス良く食べる必要があり、しっかりと食事を取るには、かむ力を維持するなど、口の健康も大切です。また、運動は1人でするよりグループでする方が、介護予防の効果が高いといわれています。つまり、3本の柱を意識し、併せて取り組むことで、より効果的な対策となるのです。

 京都市では市内12カ所に「地域介護予防推進センター」を設置しており、フレイルの兆候に早めに気付き、対策に取り組んでいただけるよう、地域の会場で感染症対策を徹底したうえで、運動や栄養、口の健康に関する介護予防教室などを開催しています。また、同センターでは身近な地域で自主的に介護予防に取り組んでみたいグループに対して、フレイル対策に関する助言なども行っていますので、ぜひご活用ください。

(京都市保健福祉局健康長寿企画課)