ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

世界自閉症啓発デー

特徴理解や配慮を訴え




世界自閉症啓発デーでダンスを披露する当事者サークル(2日、京都市下京区)
 国連は2007年に毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とし、世界中で自閉症の特性や支援について啓発することを決めました。日本ではさらにその日から8日までを「発達障害啓発週間」としました。世界各地でシンボルタワーや建造物が「癒やし」や「希望」を表す青色にライトアップされ、啓発イベントや美術展、講演会などが工夫を凝らして開催されています。

 京都では、「京都府自閉症協会」「ONLY ONEの会」「京都LD等発達障害親の会たんぽぽ」の三つの会が、京都府、京都市とともに京都駅前広場でイベントを実施しています。今年は新型コロナ感染症の影響で規模を縮小し、当事者のダンスサークル「Kirala」や音楽サークル「The BEAT」の演奏などを披露しました。併せて京都府・市の発達障害者支援センターの事業紹介、リーフレットの配布などで、障害についての特徴や配慮などを市民に訴え掛けました。

 京都府自閉症協会は当事者、家族、専門家や支援者の会で、今年11月に結成53年を迎えます。「自閉スペクトラム症についての障害特性と支援方法について正しく学ぶこと」、そして「親どうしが安心して忌憚(きたん)なく悩みを打ち明け、支え合うこと」「社会に理解してもらい、行政などに要望を伝えて行くこと」が中心的な活動です。

 自閉症は発達障害のひとつで、人とのコミュニケーションが困難であることや強いこだわりなどが主な特徴です。自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群などをあわせた総称として「自閉スペクトラム症」と呼んでいます。生まれつきの脳機能の偏りであり、知的な遅れのある人もない人もいます。

 近年は診断基準が改定されて、知的な遅れのない人たちも診断されるようになったことで急激に増加しています。

 自閉スペクトラム症は、周囲に障害についての理解者がたくさんいれば、本人は安定して自分の能力も充分に発揮できるのです。例えば、耳で聞くより目で見て理解する方が得意な人たちがほとんどなので、スケジュール表や絵カードなど視覚的な方法で意思疎通を図る方が分かりやすいのです。そのためにも一人でも多くの理解者が増えて欲しいと願っています。

 自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の人たちが、さまざまな生きにくさを抱えながらも、共生社会の一員として、当たり前に暮らしていくこと、そのような社会を作ることが、私たちの目標です。

 当協会のホームページで活動の様子や情報などをぜひご覧ください。

(京都府自閉症協会)