ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ:「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

《 ゲートキーパー 》

悩みに寄り添い命守る




京都府と京都精華大学との包括協定をもとに制作した啓発マンガ(作画・野路文紗子)
 家族や友人から「死にたい」「消えてしまいたい」と言われたら、あなたはどうしますか。

 つい話題をそらしたり、「そんなこと考えてはいけない」と否定したり、「もう少し頑張ってみよう」と励ましたくなるかもしれませんが、このような言葉をかけることは、相手の孤独感や死にたい気持ちを強めてしまう場合があります。

 また、なかには自分の悩みやつらさを周囲の人に打ち明けることをためらう人もいます。では、周囲にいる人は、悩みを抱えた家族や友人を支え、いのちを守るために何ができるのでしょうか。

 「ゲートキーパー(命の門番)」とは、悩みを抱えた方に気づき、声をかけ、話を聴き、必要な支援につなげ、見守る人のことで、この用語はWHO(世界保健機関)をはじめ多くの国々で使われています。

 日本では、2007年6月8日に閣議決定された自殺総合対策大綱において重点施策の一つとしてゲートキーパーの養成を掲げ、厚生労働省や地方自治体等が養成のための取り組みを進めています。

 京都府では、啓発漫画「大切な人が悩んでいたら〜あなたもゲートキーパーになりませんか〜」を作成し、京都府ホームページ上で公開しています。また、15年度から府民の方を対象とした養成研修を実施しており、本年度も実施する予定です。

 京都府や府内市町村が実施した養成研修には、12年度からこれまでに延べ3万5千人を超える方に受講していただいており、受講された方はそれぞれの場所で学びを実践されています。

 厚生労働省や他府県等においても、養成テキストや動画の作成、研修の開催などを行っています。ホームページ上で養成テキストや動画を公開しているところもありますので、ぜひ一度検索してみてください。

 ゲートキーパーになるために特別な資格は必要ありません。①悩みを抱えている人のサインに気づく②「何かつらそうだね」「よかったら話を聴かせて」と声をかける③「うん、うん」「そうなんだ」と相づちをうちながらじっくりと話を聴き「話してくれて、ありがとう」「頑張ってきたんだね」とねぎらいの言葉をかける④必要であれば専門機関への相談を勧める⑤相談にのった後もあたたかく寄り添って見守る…。①〜⑤を学び実践しようとする人は、ゲートキーパーの一員です。

 大切な人のいのちを守り、ともに支え合うため、あなたもゲートキーパーになりませんか。

(京都府健康福祉部地域福祉推進課)