ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ:「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

《 介護支援専門員 》

高齢者守る責任感強く




「災害に備えたBCP作成研修」の会場風景=提供写真
 京都府介護支援専門員会は、2023年11月現在で1604人の介護支援専門員(ケアマネジャー)が会員となり組織している職能団体です。介護支援専門員は、主に居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、介護福祉施設などで介護の相談に対応したり、要介護認定を受けた人にケアプランとよばれる個別支援計画を立てたりする業務を行っています。

 介護支援専門員になるには、いくつかの要件があります。例えば、医療福祉分野の国家資格を取得した上で実務に5年以上の従事経験があることや、相談援助業務・介護サービスなどで5年以上の従事経験があることが、最初の要件です。これを満たした上で、都道府県が実施する実務研修受講試験に合格し所定の研修を受け、介護支援専門員証が交付されれば業務を行うことができます。

 当会の会員状況をご紹介しますが、今年2月の会員調査では、会員の平均年齢は56歳でした。この数字は全国介護労働実態調査の平均年齢53・3歳と大差ありません。一方で、当会の20歳から30歳代の会員は、全体のわずか3割程度しかいません。その理由は上述したように介護支援専門員資格には実務経験や国家資格が必要となるため、20歳代前半では取得が難しいということです。さらに介護業界全体が人材不足であるため、若い世代には変則勤務の手当や処遇改善が進んでいる介護現場で働きたい、という意向も強くあり、介護支援専門員のなり手不足に拍車をかけているのではないでしょうか。

 介護支援専門員を取り巻く最近のトピックとしては、災害や感染症が発生しても全ての介護事業者に対して可能な限り業務が続けられるよう、24年4月からBCP(業務継続計画)の作成が義務化されることです。このことから、介護支援専門員による介護サービスの調整や相談援助業務、そして介護事業所による介護サービスが、もはや災害時であっても要介護高齢者の生活にとって途切れてはいけない重要な存在であるといっても過言ではありません。

 当会の災害対策委員会では、「介護支援専門員のBCP作成スキルの向上」を本年度の重点テーマに据えて、京都府内のさまざまな市区町村で研修を実施しています。どの会場でも参加者のBCPへの関心は高く、要介護高齢者を守る介護支援専門員の責任感の強さを感じています。(公益社団法人京都府介護支援専門員会)