京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●ふくしナウ:「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
《 ビジネスケアラー 》経済直結の政治的問題
人生100年時代といわれる社会では、介護やケアと無関係な人は存在しません。直近1年間の介護離職者は10万人を超え=表※4、ビジネスケアラーは暮らしに身近な存在です。育児に比べ介護は先の見通しが立ちにくく、期間も長期化する傾向にあります。育児・介護休業法のようにビジネスケアラーを支える制度もありますが、利用率は低く、十分に認知されていません。実態把握も不十分なため、企業の対応も追いついていません。さらに「介護は家族がするもの」という認識も根強く、困っていても周囲に相談できず孤立するケアラーもいます。 企業では、実態調査の実施やテレワークなど柔軟な働き方の採用、社内に相談窓口を設ける動きもあります。地域に目を向けると、ケアラー支援に取り組む当事者の会や集いが広がりをみせています。また、ケアラーを政策的に支援しようとする25の自治体で条例化が達成し、京都でも「ケアラー支援条例をつくろう! ネットワーク京都」といった市民運動も始まっています。 ただ、不安もあります。経産省が「ビジネスケアラー」というワードを使って打ち出す解決策の一つは保険外サービスの開発というケアサービスの市場化促進です。この方向性は当事者の介護実態や地域でのケアラー支援の広がりという現実との乖離(かいり)が否めません。市場化されたサービスの購入によって仕事と介護の両立を図るという方法は本当に働くケアラー支援として社会からの要請に応え得るものになるのでしょうか?注視したいと思います。(大谷大学准教授 大原ゆい)
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