ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ:「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

《 アンガーマネジメント 》

怒りと上手に付き合う




大阪教育大学教育学部で開かれたアンガーマネジメントの講座(2022年12月)=提供写真
 アンガーマネジメントという言葉をご存じでしょうか。

 私たちは日々の生活の中で、自分の思い通りにいかない出来事に直面したとき、自分を否定されたように感じたとき、自分が大切にしているものを傷つけられたときなど、さまざまな場面で怒りの感情を感じることがあります。イラっとしたりムカッとしたりといった腹が立つ気持ちや、なんとなく納得できずモヤモヤした気持ちは、誰もが経験しているのではないでしょうか。

 そのような怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングが、アンガーマネジメントです。怒らないことを目的とするのではなく、怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになることを目標としています。怒りの感情で後悔しないことを目指して、自分自身をトレーニングします。

 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では、「怒りの連鎖を断ち切ろう」を協会理念として、アンガーマネジメントを自分自身の学びとするだけでなく、その考え方やテクニックを周りの人に伝え、アンガーマネジメントができる人が増えていくことを目指しています。

 協会の主催する養成講座で、理論や関連知識を学び、人に教えられるようになるためのトレーニングを受け、協会の行う認定試験の合格者だけが、アンガーマネジメントファシリテーター認定資格者として、日本アンガーマネジメント協会監修のアンガーマネジメント入門講座を実施することができます。

 この入門講座を受講したことがきっかけで、怒りで後悔しない人生を生きる始めの一歩となったという方も多く、アンガーマネジメントファシリテーターは、やりがいのある仕事となっています。

 アンガーマネジメントファシリテーターの講座は、一般募集の講座だけでなく、医療や福祉、介護等での職員研修や企業研修、保育や学校、地域コミュニティの中でと幅広く実施されています。2011年の協会創立からアンガーマネジメント入門講座を含めた関連講座の累計受講者数は、170万人以上、累計開講数は4万6000回を超えています。

 コロナ禍以降の影響もあり、社会的需要もさらに増加すると思われます。

(アンガーマネジメントファシリテーターⓇ 森口由美)