ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。

ふくしナウ:「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

《 居宅介護事業所 》

障害ある人の在宅支え




京都市居宅介護等事業連絡協議会の総会の様子(20233年5月29日、下京区のひと・まち交流館京都)=提供写真
 居宅介護事業所とは、障害者総合支援法に基づき、障害のある方にヘルパー派遣をしている事業所です。ご自宅に訪問し、ホームヘルプ(自宅内での支援)やガイドヘルプ(外出の支援)、生活等に関する相談や助言等、生活全般にわたる援助を行い、障害のある方の地域生活を支える役割を担っています。

 ご利用されるのは、身体・精神・知的障害のある方で(18歳未満の児童も含む)、2018年4月からは、障害福祉サービスの対象が難病患者の方なども含めた359疾病へ拡大され、対象範囲の幅がさらに広くなっています。また、ヘルパーの仕事に従事する側の要件としては、介護職員初任者や介護福祉士等の資格が必要になります。

 近年、障害のある方の地域生活を支える制度の仕組みや社会資源は整ってきてはいますが、事業所の人手不足や労働条件、支援の質のバラつき等の問題点も多くあります。ヘルパーが関わっていても、主たる介護者は家族であることが多いため、在宅での家族介護の限界や親亡き後の生活についての不安の声は多く聞かれ、障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を実現するには、まだまだ課題があるのが現状です。

 京都市には、約120カ所の居宅介護事業所が参加する「京都市居宅介護等事業連絡協議会(居連協)」という組織があります。ホームヘルプサービスの市場化による弊害をなくす狙いで04年に発足し、20年間存続する全国的にも珍しい組織で、隔月ペースで定例会や研修会を行っています。また、京都市へのさまざまな要望や懇談等の中で行政に声を届ける役割も担っています。上述した課題を解決するための取り組みが求められますが、この居連協を通じて行政と一緒に考え取り組むことが今後も重要だと考えています。

 「居宅介護事業所」という言葉が、世間一般的にあまり知られていない、マイナーな言葉であることを改めて感じています。障害のある方は国内人口の約1割近くおられると言われています。障害の有無に関わらず誰もが共に暮らせる(インクルーシブ)社会の実現は、社会全体の問題として考えていくことが重要だと思っています。

 その機運を高めるためにも、障害のある方の地域生活を(良い面や課題を)知っていただく事、私たちの仕事(存在)を知っていただく事、メジャーにしていく事(一方的ではなく互いを知るという努力スタンス)が大事であり、そういう活動を意識して、努力していく必要性を今あらためて感じています。

(京都市居宅介護等事業連絡協議会事務局長 永瀬健太郎)