ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞愛の奨学金

コロナ禍での頑張りに 助け合いの心広がる

生徒・学生462人へ過去最高額の善意(21/07/19)



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贈呈式で、代表の生徒に奨学金を手渡す藤木常務理事(左)と選考委員の石山・京都青年会議所理事長(4日、京都市中京区の京都新聞文化ホール)
 京都新聞社会福祉事業団の2021年度「京都新聞愛の奨学金」贈呈式がこのほど、京都市中京区の京都新聞文化ホールで行われた。京都府と滋賀県内の生徒、学生462人に前年度より465万円多い過去最高の総額4575万円が贈られた。新型コロナウイルスの感染が続く中で、激励を込めた善意の広がりと、将来の夢へ歩みを進めようとする生徒、学生の強い思いを感じさせた。

 贈呈内訳は、公募の一般の部で高校生139人、大学生・専門学校生143人、交通遺児の部で高校生3人と大学生6人、公立高が推薦した定時制・通信制の部で17人。他に後日、奨学激励金を贈る児童養護施設の高校生154人。選考委員会を設け、家計と学業成績に加え、作文などで将来に向けた思いや現在の学業に対する意欲をくみ選んだ。

 本年度は、大学生・専門学校生の申請者数が前年度比約1・85倍に増え、大学生・専門学校生への支給を同1・57倍に増やした。その半数以上が、コロナ禍での家計やアルバイト先の減少などを申請理由に挙げた。

 財源面では「コロナ禍で困っている学生さんのために」と昨年1000万円を寄託した左京区の女性から再び2000万円、城陽市の女性の遺族から500万円、長年「誕生日おめでとう」コーナーに賛同していた東山区の女性の遺族から100万円などの善意が寄せられた。これを受け、同事業団は支給総額を大幅に増額した。

 贈呈式は感染予防のため5回に分け開催し、選考委員の石山慶さんや奥村美佳さんも出席。同事業団の藤木泰嘉常務理事が代表に奨学金を手渡した。藤木常務理事は奨学金の趣旨や選考の経過、コロナ禍を案じる善意の寄付などを説明。「困った時には、お互いが助け合える優しい心が広がることを願っています。多くの寄付者の気持ちに応え、大切に使い、有意義な学生生活を」と激励した。

 選ばれたのは、ひとり親家庭やコロナ禍で親の失業、病気入院など、さまざまな個別事情を抱える生徒や学生たち。コロナ禍の影響か、進路選択に悩みながらも医療系の大学や専門学校を目指す人やそこで勉学に励む生徒、学生が目についた。

 式に出た京都府立医大や滋賀医科大に通う学生は「コロナ禍で医療態勢の逼迫(ひっぱく)などを見聞きしているので、早く私も力になれるようしっかり勉強したい」とそれぞれの意欲を示した。京都市内の看護専門学校生は「実習でいろんな患者さんに接するので、コロナ問題への緊張感もある」と言い、医療福祉専門学校生は「特別養護老人ホームでの実習もある。コロナ禍で介護支援の大切さを一層切実に感じている」。医療系のため感染症対策でアルバイトが禁じられていたり、学費が高い一方で学習時間が長くアルバイトができないなど、医療系ならではの悩みを漏らしながら「奨学金はとてもありがたい」と学生たちは話していた。


 有意義に活用願う

 大藪俊志選考委員長の話

長引くコロナ禍の下、不自由な生活を強いられつつも、日々の学業・部活動などに精いっぱい励まれている様子に感銘を受けました。奨学金の趣旨・目的を受け止め、将来の目標や夢の実現に向け、有意義に活用されることを願っています。


 京都新聞愛の奨学金 京都新聞社会福祉事業団が発足した1965年から実施。京都新聞紙上の「誕生日おめでとう」コーナーへの寄付や協賛寄付に一般寄付金を加えて支給している。返済不要の給付型で、高校生は年額9万円、大学生・専門学校生は同18万円、児童養護施設高校生(奨学激励金)は3万円。選考委員は、大藪俊志佛教大准教授=委員長、石川慶京都青年会議所理事長、奥村美佳京都市立芸術大准教授、村井琢哉山科醍醐こどものひろば理事長。