ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

第40回 京都新聞チャリティー美術作品展

40回重ね 広がる縁 継続の力
17日から22日、京都高島屋グランドホール(22/08/15)



写真
出品作とは別のパンジーのスケッチを手に思いを語る三輪晃久さん(2日、京都市北区)
 「第40回京都新聞チャリティー美術作品展」(京都新聞社会福祉事業団、京都新聞主催)が17日から22日まで6日間、京都市下京区の京都高島屋グランドホール(7階)で開かれる。美術家や宗教家、著名人から寄贈された作品に入札してもらい、落札金を福祉事業に充てる。1983年から始まり、今回は40回の節目となる。会場には約900人から寄贈された洋画、版画、日本画、書、イラスト、漫画、陶芸、染色、木・竹・漆・ガラス工芸、彫刻、写真など千点を超える作品が展示される。

 連続寄贈者も多い。日本画家で堂本印象美術館館長の三輪晃久さん(88)=京都市北区=は華やかな「パンジー」を出展する。三輪さんは「コロナ禍やウクライナ戦争など穏やかでない世相の中、心和ますものが大切で、美術展の開催自体に意義がある。小品ながら色彩豊かなのがいいと、思い切り明るい作品にした」と語る。

 現在、同事業団評議員を務め、日本芸術院会員だった父晁勢さんが亡くなった関係で出品を見送った初期を除き、計37回出品してきた。「チャリティー展らしく作家はもちろん入札される人も福祉への思い入れを持っていることで、気持ちの交流や思わぬ人との触れ合い、縁が生まれる。しっかりした作品で福祉事業を応援したい」。長女の純子さん(版画家)、次女の時子さん(日本画家)も出品する。

 パステル画「薔薇」を寄贈した大津市在住の洋画家山根須磨子さんも、チャリティー展の意義と協力の動機について「これまでいろんな作品を出品し、それをきっかけに個展を訪ねてくれる人もいて人間関係も広がりました」と述懐する。

 陶芸家清水保孝さん(74)=東山区=は、初めて登り窯で焼成した「灰釉鉄絵亀遊文茶碗」を寄せた。同展の賛同者だった重要無形文化財保持者(人間国宝)の陶芸家、父卯一さん(故人)が滋賀県に築いた「蓬莱窯」ゆかりの作品だ。鉄釉の亀遊文に灰白色の自然釉をかぶっている。子息の志郎さんが使う登り窯を自身も初めて利用した。「三代で、それぞれ違うことをしているが、それぞれの個性的な作品を大事にしたい」と意欲的に自作を解説する。

 欲しい作品があれば、場内に設けた投票箱に入札してもらう。集まった落札金は障害のある人、高齢者、子どもたちのための施設や団体、地域社会の福祉事業の継続と拡充、充実に活用する。

 これまで連続で出展する彫刻家の木代喜司さん(82)=北区=の作品は陶オブジェ「うさぎと少女」。「長く障害児教育に関係し、自身も教育機会が厳しかった世代なので、障害者福祉や奨学金事業を応援したい気持ちがある。今回は思い出を形にしたので少し古風な造形です」と話している。

 障害のある人の芸術活動やアート作品を紹介する特別展も併催される。入場無料。午前10時から午後7時(最終日は午後4時、入場は閉場30分前)まで。変更の場合あり。最新情報は同事業団、京都高島屋のホームページで。作品の一部は京都新聞アート&イベント情報サイト「ことしるべ」で紹介している。スマートフォンからも閲覧できる。


    
写真写真
三輪晃久氏「パンジー」清水保孝氏「灰釉鉄絵亀遊文茶碗」
写真写真
木代喜司氏「うさぎと少女」山根須磨子氏「薔薇」