ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

子育て事業助成

チラシ制作や会場費 参加費の抑制に効果

小さな団体にも一律2万円(23/05/08)



 工夫を凝らし子育て活動する団体は京都府にも滋賀県にも多い。京都新聞社会福祉事業団は、こんな取り組みを支援しようと、上限15万円の「子育て事業助成」と小さな団体にも一律2万円を助成する「子育て仲間を応援」の両事業を毎年実施している。2022年度に支援した活動例を紹介しよう。

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ことえほんが木陰で催した箏演奏と絵本の読み聞かせコラボレーション(2022年11月、京都市山科区)
 事業助成を受けた京都市山科区の女性グループ「ことえほん」は、箏(こと)と絵本を組み合わせた珍しい催しを小学生までの親子対象に、同区のほか大津市や南丹市で昨秋、計5回開催し、計約90人が参加した。絵本の読み聞かせばかりでは小さな子どもの興味が長続きしないので手遊びなどと組み合わせてきたが、箏との組み合わせはさらに興味を持ってくれる。母親からも「箏の生演奏を初めて聞いた」など好評で、BGM的に使っている箏演奏も子どもらの反応から「効果音としても有効かも」など新しい発見もあるという。

 代表の絵本専門士・鳥山由紀さんは「絵本の読み聞かせは一般に無料という感覚があって料金は取りづらい。助成金はチラシ制作や交通費、会場使用料などに充てられ助かります」と話し、さらに広域に活動したいと願っている。

 音楽講師らのボランティアサークル「音の宅配便“そよかぜ”」(守山市)は、音楽を通して地域の交流や親子の触れ合いなどを目指し20年間活動を続けている。事業助成を得て、昨年12月に守山市で未就園児の親子20組40人のクリスマスコンサートを開き、長浜市では幼児から学童保育や放課後デイの学童も含めた「そよかぜハートフルコンサート」を約200人で楽しんだ。代表の安井裕子さんは「学童保育の子らも含めた催しは初めてだったが、飽きずに興味深げに見てもらえ、お母さんにも喜んでもらえた」と振り返る。

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2回公演で合計200人が楽しんだ「そよかぜハートフルコンサート」(12月、長浜市)
 「コロナ禍」当初には予約キャンセルが相次ぎ、「演奏はいいけれど歌はダメ」という時期も経験した。客席とも距離を取らざるをえず、子どもらの楽器演奏体験もできなかった。昨年の催しも「歌えないので、手話歌やダンス、クイズ形式のパフォーマンスも取り入れて、参加してもらう工夫や、新聞紙を使って音を出す楽器を作りリズムを楽しんでもらったりした。安井さんは「未就学児などの子育て中の親御さんを応援し、日常に楽しい変化やアクセントをつけてもらえるような活動を今後も続けたい」と言い、「珍しい楽器を購入して実際に見てもらったり、音響関係の費用に役立っている」と助成金の効用を感じている。

 25年間の活動実績があり京都市の「集いの広場」事業委託なども受けるNPO法人「京都子育てネットワーク」(伏見区)は、2月に乳幼児を育てる母親を対象にした「mamaGAKU」を西京区で開いた。母親同士で知り合う機会がなかったり、「ママ友の作り方がわからない」という人には情報やノウハウを提供し、親子で一緒にリズム遊びや心身のリラックスと癒やしの時間を楽しんでもらう催し。コロナ禍以後久びさの対面開催で、担当した小川雅子さんは「人と会うのをためらい、インターネットのあやふやな情報に頼りがちな時期だけに対面の催しは大切。お母さんは自分のための支出をちゅうちょしがち。参加費をワンコイン500円に抑えるのに補助金が後押しになった」と話す。

22年度は「子育て仲間を応援」で91団体(京都市内12、府内43、滋賀県内36団体)に総額182万円を、「子育て事業助成」で計14事業(市内5、府内2、県内7)に総額82万円を助成した。