ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
ともに生きる

京都新聞福祉活動支援助成

子どもからお年寄りまで
つながる心地よい空間を

昨年度は京滋の施設、団体に24件・総額498万円(23/11/20)



 京都新聞社会福祉事業団は、京都と滋賀の福祉施設や団体・グループを対象に福祉活動支援事業に取り組んでいる。2022年度は、「運営」部門に15件(京都市10、京都府5)に総額199万円、「設備」部門に9件(京都市3、京都府5、滋賀県1)の299万円、両部門合わせて24件・総額498万円を助成した。

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「ふれあいほうむ どうぞ」は、新たに絵本を購入した(京都市中京区)
 京都市中京区の市民団体「ふれあいほうむ どうぞ」が、高齢者の居場所づくりとして毎月1回開く「ほっこりサロン」は、絵本の読み聞かせや参加者が折り紙を用いた手作り作品づくりに集う。運営部門の助成を新たな絵本の購入などに生かした。

 代表の小林敬子さん(73)は「絵本はお年寄りが喜ぶだけではなく、子や親、若者など世代を問わず万人が楽しめる」と話す。小林さんたちは近くの公園で絵本イベントなども催している。今後は回数を増やしたり年齢層をさらに広げたり活動の充実を目指しているという。

 温かみのある町家を生かした場では、ランチや弁当も提供し、子ども食堂も催す。大学や商業施設のビルが並ぶ一方、風情ある町家や民家も残るJR二条駅周辺で、街と人をつないでいる。

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「暮らしのコツ研究所」が、ランチで用いる調理器具(京都市左京区)
 生きづらさを抱える女性に向けた活動に取り組む左京区のNPO法人「暮らしのコツ研究所」は、活動拠点の「ことの葉.lab」を女性に毎月1回開放してオープンデイカフェを催している。設備部門の助成で圧力鍋など調理器具を購入した。

 「メンバー」と呼ばれる利用者とスタッフが手作りのランチを調理し、オープンデイの日には接客も担当する。地場の季節野菜をふんだんに使ったおばんざいなど体にやさしい料理を目的に来店する人も多い。

 メンバーの北村さゆりさん(47)は「オープンデイで『ありがとう』と笑顔で言ってもらうと、やりがいを感じます」と話す。

 代表理事の瀬端万起(せばた・まき)さん(50)によると、温かみのある照明や内装にも気配りする。大勢の会食が苦手な人は1人だけで食べたりどの場所で食べても、食べなくてもOK、と心地よい環境を心掛ているという。

 「生産性や効率の重視へと偏りがちな社会の中で、心おだやかに過ごせて、つながることができる場をこれからもめざしたい」と瀬端さんは話している。

 1979年度から始まった同助成事業は歳末ふれあい募金などを充てている。23年度は11月末ごろに募集する予定。