ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

遠隔授業―いっしょによりよくしよう

2020.05.18

  • コラム「暖流」

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

関西大教授 所 めぐみ

新型コロナ禍。4月から当面ということで開始した遠隔授業は、春学期中継続することとなった。教職員、学生がともに学びあいながら、手探りで進めている。学生たちの学びを保障し、コロナ禍収束の先も見据え、より良い大学教育・研究のためこの機会を積極的に生かせるかどうか。一人ではできない。私たちのコミュニティー力にかかっている。

十分な準備を経てのスタートではなかった。しかし、教育は相手があり環境があってのこと。やりながらでないとわからないことや気づけないことが多い。所属学部では全学生を対象に調査を実施、返信のない学生には教職員とで手分けして連絡をとり、遠隔授業が実施できる学習環境にあるかを把握した。専任・非常勤の教員宛、学生宛に学部としてどう取り組んでいくのかを文書で伝えた。「いっしょにやっていこう」と。各学年の小人数の演習クラスはビデオ通信システムでできるよう教員・学生ともに準備をした。画面を通して学生たちと会え、ほっとし、元気をもらっているのは私たち教員の方だ。「いっしょにやっていこう」といったからには学生たちが受け身でなく主体的にできるような働きかけや工夫がいる。

声を聴くだけでなくそれを受け止め必要に応じてすぐに動く。その過程では教職員間での協働が欠かせない。学生からは、不安や戸惑い、寂しさ、友達や話せる相手が欲しいこと。提出課題に対するフィードバック、遠隔でも授業であり自主学習ではない点を考えてほしいなどの要望。やる気がでてきている、でも疲れる等々。この連休中は、学生からの声や教職員の気づきの集約をもとに改善策への協力のメッセージと情報提供のための準備を教職員でした。また学生も遠隔での新入生サポート兼「新歓」に動き出している。保護者、同窓組織の支えも有難い。

しかし、学内でできることばかりではない。実習等もどうしていくか。課題はまだある。いっしょにやろう。

ところ・めぐみ氏
1967年生まれ。同志社大文学部社会福祉学専攻卒。関西大人間健康学部教授。専門は地域福祉方法論、福祉教育。