2020.07.27
2020.07.27
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
関西大教授 所 めぐみ
目に見えない正体のよくわからないものと戦うのはたいへんだ。私たちが守りたい命や健康、安心、人と人との信頼関係や社会のつながりにまで影響を与える新型ウイルスは、どうもしばらく私たちとともにいるらしい。『新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~』(日本赤十字社)は、新型コロナが「病気」、「不安」、「差別」の3つの“ 感染症” という顔を持って私たちの生活に影響を及ぼすこと、それらにどう対応したらいいのかを、わかりやすく教えてくれる。非常事態宣言前であったがこれを初めて見たとき、戦う相手(敵)を間違えないこと、自分たちの中にあるどんな力を弱めないことが大切かに気づかされるとともに、何を見失ったり弱めたりしてはいけないかを問うて動いている人たちの存在とその活動の意義を再認識している。
地域福祉活動はこの間大きな影響を受けた。ほとんどの活動が中止、自粛。非常事態宣言解除後も、これまで通りの活動とはなかなかならない。感染予防をすればするほど、活動再開がしにくくなるというジレンマもある。非常事態宣言下、解除後も、自分たちに何ができるかを考え、さまざまな工夫をして活動を再開した人たち、新しい活動を始めた人たちがいる。集まることや個人宅への訪問は控えても、電話や無料通信アプリ「LINE(ライン)」での連絡や安否確認、手紙のやりとり、感染予防対策をしての玄関先までの食材等の配達など。
ステイホームでもできること。手作りでのマスクや医療防護服づくり。オンラインで顔をあわせる。家にいても健康づくりが続けられるようなじみのメンバーによる体操やダンスの動画づくり。
またそうした活動者のニーズをつかんで、コロナ禍での活動事例の紹介や活動者に寄り添ったガイドラインなどの作成や情報共有に尽力する人たちがいる。
コロナとうまく付き合いながら、“ できること” を“ できる方法” で。
ところ・めぐみ氏
1967年生まれ。同志社大文学部社会福祉学専攻卒。関西大人間健康学部教授。専門は地域福祉方法論、福祉教育。