2022.02.28
2022.02.28
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
弁護士 尾藤 廣喜
2月19日(土)、第3回の「ひとりぼっちをつくらない社会をめざす集い」が開かれた。この集いは、障害のあるなかまたちのための事業所の全国組織である「きょうされん」全国大会が2018年9月京都で開かれた1年後に作られた「ひとりぼっちをつくらない京都の会」が開いたものだ。
新型コロナが「オミクロン」型に変異、感染力が増大し、第6波の被害を招いている状況の下で、「ひとりぼっちをつくらない」ことが本当に切実な課題になっていることもあって、オンラインではあったが、約330人が参加した集いになった。冒頭は、「コロナ禍で浮き彫りになった日本の社会保障の課題」について、岡﨑祐司佛教大学教授が講演された。
次いで、中野加奈子大谷大学准教授から、生活に困窮している人への支援制度の中身と制度に何が足りないのかが話され、その後、大学生協事業連合の末廣恭雄さんから、学生生活の実態調査・コロナ禍アンケートの結果に基づいて学びの危機、つながりの危機、暮らしの危機の3つの危機の中で、大学生の自死が9%、大学生協の組合員の自死が40%も増加してる深刻な状態が報告された。また、山本順子宇治東福祉会常務理事からは、障害のあるなかまとその事業所に何が起きているかについて、事業所のコロナ感染の状況とふれあいの機会の喪失、事業所運営上の財政的危機などを紹介しながらの報告がなされた。
いずれも、深刻な現実を突きつけられた思いだったが、その中で、多くの人々が、広く地域や社会に実情を訴え、制度の理念に立ち返りながら、当事者を主人公に、コロナに負けない決意で励まし合っている状況を確認できたことが、大きな収穫だった。
最後に、岡﨑教授から、全ての人の「生」を支える「ケア」を保障できる社会システムを作ることが強調された。
今後は、参加できなかった多くのなかまに、実践の中で成果を伝えたい。
びとう・ひろき氏 1970年京都大法学部卒。70年厚生省(当時)入省。75年京都弁護士会に弁護士登録し、生活保護訴訟をはじめ「貧困」問題について全国的な活動を行っている。