2023.07.31
2023.07.31
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
関西大教授 所 めぐみ
ゼミ4回生の就職活動。1次試験を通り、次の面接等が残っている公務員志望の学生たち以外は、ほぼ終了したようである。
私のゼミは福祉職に就職する学生が比較的多いけれど、その中でもここ数年は行政の福祉職に就く学生の割合が増えている。
もともと公務員志望の学生は少なくなかった。最近、志望する学生たちにとっては、チャンスが増えている状況だ。なぜなら福祉職枠採用をする自治体が増え、また福祉職採用の人数枠がかなり大きな自治体もあるからだ。また試験日が重なっているところもあるとはいえ、複数の自治体を受験できるような試験日程の状況もある。
結果として、採用試験に合格する学生の数が増えるとともに、1人の学生が、複数の自治体から内定をいただく状況である。昨年ゼミでは、三つの自治体から内定をいただく学生もいた。今年も複数の自治体を受験し、現在のところ1次試験を複数突破している。
2次試験に向けて、最初に提出したエントリーシートとは別に、どのようなことにとりくみ実現したいと考えているか、自分のこれまでの経験をどういかせるかなどについての小論を事前に課すところもある。受かることだけでなく、そこで働く自分を考えて、背伸びせずに自分の良さを伝えられるようにアドバイスしている。それに加えて現在の就活状況、具体的には当該自治体以外にどの自治体や民間団体・企業を受けていて、内定が出ているかどうかをシートに記入させている自治体もある。学生たちは正直に書いた方がいいか聞いてくる、もちろんと答えている。
最近は企業や他の福祉職から行政の福祉職に転職する人も少なくない。福祉を専門的に学び、福祉に関わって仕事をしたいという人が、民間機関、団体はもちろん行政でも増えていることは、うれしい。現場での育成など、少数精鋭から人数も多様性も広がるなかでの課題はあるだろうが、よい変化を期待している。
ところ・めぐみ氏
1967年生まれ。同志社大文学部社会福祉学専攻卒。関西大人間健康学部教授。専門は地域福祉方法論、福祉教育。