2024.02.19
2024.02.19
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
関西大教授 所 めぐみ
先週11カ月の入院を経て、父は高齢者施設の介護医療院に移った。去年3月、突然歩くことも立ち上がることもできなくなり、寝たきりに。ケアマネさんらの迅速な支援で、訪問看護・介護・入浴サービスが調整され父の支援体制ができた。
私の職場が遠く、学部長職の忙しさで、週末ぐらいしか関われない。母も要介護1であり、父の世話で今にも倒れそうだった。その後、父の病気を特定するため入院。入院治療が必要となり、在宅での支援体制は解消。入院後すぐに退院後の調整が始まり、父、母の意向を確認し、退院後は自宅ではなく施設入所と決めた。
入所申請を何カ所もするが、父の状況から対応が難しいという施設がほとんど。コロナ対応継続で制限があり、仕事を調整して平日の昼間の限られた時間に、母を連れて面会にいくのもたいへん。治療のため一時転院する際は、仕事の調整ができず大学時代の友人に付き添いを頼んだ。情けなさと感謝で涙が零れた。
病院の相談員さんの支援にも支えられた。特養が決まらないため、紹介された他の施設等も母を連れて見学。治療とリハビリのかいがあり、父の状況がよくなり、受け入れてくれる老健施設があった。
本人、家族面談も済ませ入所が決まるが、コロナでその後1カ月入所できず、その間他の施設での受け入れ可能性が出て、また面談、入所に至ったが、これで終わりではない。
働きながら介護をするビジネスケアラー。介護には家事・身体的介護等の「直接介護」だけでなく、医療・介護サービス等利用に必要な各種手続きや資産・住まい管理に関する家族内の合意形成と関係調整等を行う「間接介護」もある。いざ本当に支援が必要になった時には、自分も本人もたいへんな状況。だから助けを求める、わからないことは教えてもらう。できるだけ早く。一人ではできない。
ところ・めぐみ氏
1967年生まれ。同志社大文学部社会福祉学専攻卒。関西大人間健康学部教授。専門は地域福祉方法論、福祉教育。