ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

余暇支援や外向け啓発に注力/小、中学生こそ「正しく知って」(2020/12/15)

2020.12.15

  • 広がる 地域の輪

NPO法人発達障がいサポートネット「でこぼこフレンズ」

でこぼこフレンズのクリスマス会で、サンタからプレゼントをもらう子どもたち(6日、米原市春照・市伊吹薬草の里文化センター)=提供写真

 自分たちが作ったサンタの飾り付けを背景に、マスク姿で着席した親子やスタッフら約40人の顔が、一様にほころんだ。「工作も料理もみんな腕を上げたね」。発達障がいサポートネット「でこぼこフレンズ」が今月初旬、米原市内で開いたクリスマス会。障害のある子どもたちが調理したカレースープも食卓を飾っていた。

 「でこぼこフレンズ」は米原、長浜両市域を主なエリアに、自閉症や発達障害、ダウン症などのある子どもとその保護者らでつくる。活動理念は「障害の当事者、家族が地域で当たり前に受け入れられ、当たり前に暮らせる環境づくり」。休日に親子が集まる余暇支援活動のほか、子どもだけを預かったり、保護者対象のセミナーや講演会、啓発映画会なども開いてきた。

 クリスマス会や夏のサマースクールなどの余暇支援活動は、年間約15回開かれる。交流や学習が主眼だが、子どもたちには自由に遊べる楽しみ、保護者には互いに悩みや本音をぶつけられる大切な場になっている。

 長男(15)が6歳のころから参加している会員の川本雅栄さん(44)は、余暇支援の効果は大きいという。「長男はじっとしているのが難しく、外出しても私だけの付き添いでは十分に楽しんだり学んだりできません。ここでは経験豊かなスタッフに任せられるので安心。長男も自由に動け、最近はスタッフに料理を習って一人でも作れるようになりました」

 交流や学習行事と並んで、会員たちが力を入れているのが、外向けの啓発活動。発達障害はコミュニケーションの困難が特徴で「返事をしない」「不意に動き出す」などさまざまの症状を伴う。外見からは分かりにくいため、周りから「しつけが悪い」などと誤解されやすく、社会一般の正しい知識と理解が欠かせない。

 「小、中学生にこそ知ってほしい。早期に理解が進むと、互いの存在を身近に感じ助け合いの習慣が身につくはず。災害時に障害のある人の適切な避難や支援を可能にするためにも重要です」。法人理事長の吉川友子さん(50)は力を込めてそう語る。

 吉川さんは、言葉が苦手な長女葵さん(19)の成長過程で起きた周囲の無理解や、葵さんに負担を強いた自責の念で悩んだ経験がある。「正しく知って」と訴える吉川さんの熱意は周囲に届き、来年には初めて米原市の中学校で福祉学習の講師を務めることが決まった。

 発達障害は症状がグレーゾーンにある場合、幼少期に見過ごされ、成人後に判明する場合も少なくない。会員たちは早期発見へ、保護者が小さな疑問でもすぐ相談できる専用窓口の必要性を痛感。行政へ働きかけることも検討している。

 活動を進めるうえで、会員の高齢化と後継者育成は常に優先課題だが、いま切実なのは余暇活動を助けてくれるボランティアの確保。身軽に動いてくれる高校、大学生の参加が一時より少なく、「障害理解のためにもぜひ手を上げて」と呼びかけている。

でこぼこフレンズ
米原市こども療育センターに通う子どもの保護者らで2006年に結成。10年、NPO法人化した。湖北地域で自閉症・発達障害児(者)とその家族を支援。障害への理解を促す活動も行う。役員・会員15人。事務局は米原市上野。