ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

誰でも集える開かれた場に/遊び、ご飯、学びを提供(2022/10/17)

2022.10.17

  • 広がる 地域の輪

こども食堂「からふる」

こども食堂に集まった子どもたちへクイズを出すメンバー(1日、伏見青少年活動センター)

京都大の学生を中心とした地域団体で、京都市内の施設で子どもたちに「遊び、ご飯、学び」を提供している。代表の経済学部3年、中土井海斗さんは「子どもたちの笑顔を生み出すことがミッション」と語る。結成当初のメンバーは10人に満たず、京大に近い左京区の北白川児童館で月1回の「こども食堂」を企画運営していた。学内でのPRに加え、子どもの貧困についての社会的な関心の高まりもあって、参加する学生は年々増え、今では総勢76人。活動も伏見・北青少年活動センター、一乗寺こども食堂(左京区)、妙蓮寺(上京区)などを拠点に、月8~10回のイベントを運営するまで拡大している。メンバーのうち21人が「運営メンバー」として企画運営を担う。副代表の大脇茉那さん(教育学部2年)は「子どもの貧困や居場所づくりに関心があって入った」という。しかし、実際に活動に加わってみると「困窮している子、集まれ―では誰も来ない。むしろ、誰でも集える開かれた場こそ必要」と気づいたという。共働き家庭で寂しく夜を過ごす子、学校になじめず孤立している子、経済的困窮を表に出さない子…。そうした隠れた課題に目と気を配る。こども食堂では100円で1食を提供するが、それを払えない子もいる。そこで、スタッフがクイズを出し、解けたら半額で提供することにした。「毎回すごく盛り上がって、楽しみにして来てくれる子もいる。子どもたちがスタッフと打ち解けて話すきっかけにもなる」と中土井さん。赤字で行き詰まらないか心配になるが、そこは経済学徒らしく「きちんと原価計算して、トータルで赤字化しないようにしています」。

こども食堂を告知する看板

力を入れているのが、こども食堂に集まった子どもたちと一緒に遊ぶ活動だ。「自分と気が合う、同じ志向の子とばかり集まる傾向がある。いろいろな子との遊びを通し、居場所の『幅』を広げてほしい」と願う。大学生とふれ合うことで、将来の自分の姿を想像する機会にもなる。また、塾講師や家庭教師のアルバイトをしているメンバーが多い利点を生かし、子どもたちの求めに応じて無料で勉強を教える。「宿題や定期テスト、受験勉強まで対応できます」そんな「からふる」が次に目指すのは、京都にある他大学に共感者が増え、活動が市内全域に広がっていくことだ。左京区社会福祉協議会などとネットワークをつくり、こども食堂のスタッフや食材、物品などを融通し合える仕組みを模索している。京都市養正福祉センター(左京区)を本格的な活動拠点とする計画も進んでいる。「メンバー自身が楽しめ、人を幸せにし、地域との関わりを大事にする。昨年まとめたこの三つの理念を礎に、地域と協力して京都の子どもたちを幸せにする活動を広げてほしい」。中土井さんは後輩たちにエールを送っている。

こども食堂「からふる」

2016年に北白川こども食堂「からふる」として発足。地域貢献として清掃活動にも取り組む。イベントの予定はツイッターやフェイスブックで確認できる。