ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

働くことで社会に役立つ/手作りの弁当などを販売(2024/07/08)

2024.07.08

  • 広がる 地域の輪

綾部福祉会「サクラティエ」

弁当やおにぎり、焼菓子などを販売している「ほっとはあとショップあやふく」(綾部市、6月18日)

綾部市若竹町の市役所地下1階、食堂の隣にある約35平方メートルの売店スペース(市職員共済組合事務局管理)が5月中旬にリニューアルされて「ほっとはあとショップあやふく」がオープンした。運営は社会福祉法人綾部福祉会(梅原三夫理事長)のワークショップ「サクラティエ」が担当している。

売店では、サクラティエの「仲間」(利用者)の障害者らが作る弁当やおにぎり、焼き菓子などを販売しているほか、同市内の聴覚言語障害者施設で作られている天然酵母の石窯焼きパンや福知山市内の障害者作業所がつくる商品なども並べて紹介し、販売している。

7月からは同じ綾部福祉会が運営する就労移行支援・就労継続支援B型事業の作業所「ともの家」が作るピザに加え、ドリップコーヒーなども味わえるコーナーも設けた。市職員のとっさの時に役立つようにとカップ麺や即席みそ汁、作業用手袋なども並べている。

営業は午前10時から午後6時まで、サクラティエの支援員(職員)と「仲間」3、4人とが毎日交代で店頭に立っている。昼休みが始まる正午前後には市職員らが訪れ、おにぎりやパンなどを品定めして購入している。中には急ぎ足で地下に降りてきて「おにぎりまだ残ってたわ」と笑顔で購入する作業服姿の男性職員も。

梅しそご飯にオムレツやナスの煮つけなどを盛りつけた日替わりのミニ手作り弁当も販売している。弁当箱はリユースで、返却すれば売店で使えるコインがもらえるなど環境面にも配慮している。地元綾部市の「地域の恵みの商品化」という趣旨もあり、住民グループや農家がトチの実や紅芋、鹿ケ谷カボチャを使って作ったお菓子やクッキーなども並べている。

サクラティエは、同福祉会の三番目の施設として同市青野町に8年前に開設。しゃれた内外装の絵本カフェも併設して、さまざまな障害がある「仲間」たち20人が9人の支援員とともに、クッキーやサブレなど焼き菓子を作り、カフェを運営して働いている。

材料の厳密な計量から焼き上げまですべて「仲間」でこなす手作りバウムクーヘン「焼きたてばあ夢」は、ふんわりした卵の風味が評判の自慢の一品。6月に開いた8周年記念イベントでもすぐに売り切れたほどという。

施設名は、隣接する児童公園にあり地元住民に愛される桜の大木のように、地域に溶け込み住民に親しまれるようにと名付けた。

「地域に開かれた施設で工賃増も目指すという目的意識でスタートしたので、働くことで社会に役立つという職業意識も持とうと、語尾に『パティシエ』(菓子職人)の意味もかけた造語です」と大槻真理子施設長。さらに「障害者が地域で働き生活していけるのも、地元、地域、関係者の後押しに助けられてやってきたと感謝、感謝です」と振り返る。また、現在も「仲間」の希望や適性を加味して製菓班、カフェ班など班分けして働いているが、「現状に満足せず、働く意欲のある人が障害の種類や重さにかかわらず働けるよう、施設や定員の拡大も考えていきたい」と話している。

サクラティエ
2016年に開設、0773(43)3367。1980年に綾部共同作業所開設。93年に社会福祉法人綾部福祉会が認可。2012年に「ともの家」と法人統合。就労支援、生活介護、共同生活援助などの事業に取り組んでいる。