2024.08.26
2024.08.26
NPO法人「音の風」
京都市を代表する文化ゾーンにある市岡崎いきいき市民活動センター(左京区)に21日夜、コーラスグループ「キャナリアン ヴォイセズ」メンバー14人が集った。「つらい時は私を頼っていいんだよ」という意味の70年代米国ソウル曲「リーン・オン・ミー」を、英語の歌詞一語一語に情感込めてハーモニーを響かせた。
福祉施設や地域活動の場へ音楽ボランティア派遣などに取り組むNPO法人「音の風」(東山区)が、市民向け講座「ミュージックサロン」を同センターで開いている。「岡崎リトルポップスターズ」「シャイニングスターズ」「子どもコーラスComodo」、「ピアノサロン」が受講する。活動の成果を披露する1年のコンサートが、ロームシアター京都でおよそ1カ月後に控える。
NPO法人事務局スタッフでミュージックサロン講師を務めるキーボード奏者の前滝康彦さん(64)によると、コロナ禍の期間中は無観客でのコンサート開催などの制約があったという。インターネットを通じた動画配信など試行錯誤を続けた。去年からようやく通りステージでのコンサート形式に戻ったという。
「音楽を通じて社会に貢献する原点に戻り、期間中に試みたことを形としてさらに伸ばしていける環境が整ってきたと実感する」と前滝さんは話す。
市の公共施設・岡崎いきいき市民活動センターの指定管理者として、運営をNPO法人が担う。センター長を西野桂子・NPO法人代表理事が務める。
地元児童館の子どもと公園を探検したり、アーティストとギャラリーを巡ったりした成果を「まちあるきマップ」として作成した。地域の魅力を発信し、市民の交流が盛んになるための活動に取り組む。同NPO法人による運営が最も色濃く反映されているのが、音楽分野だといえる。
寄贈されたレコードや機器をもとに2013年に始まった「レコードを聴く会」は、同館の名物企画として市内外から幅広い市民が参加するようになった。ゲスト企画者として小説家や大学研究者も加わる。センターから公共施設へと出張したイベントも開くようになった。10年の歩みを振り返って今春に同館が発行した冊子で、センター長の西野さんは「レコードがこんなにもたくさんの人と人をつないでくれるなんて」と、人の輪が当初の予想を大きく超えて広がった思いをつづっている。
前年度から始めた「ドラムサークル」は、地域活動の担い手を養成することを目指す。初年度は約20人の受講生が本年度は30人近くに増え、小学校での演奏など活動の場も広がった。打楽器指導の枠にとどまらず地域での活動へと、目指した方向へ着実に進んでいる。
音楽を主とするNPO法人の活動はコロナ禍で制約を受けた半面、試行錯誤を重ねた中で、まいた種が今、幅広い市民の輪へと実りつつある。
「音の風 ミュージックサロンコンサート2024」は、9月28日午後1時からロームシアター京都ノースホールで開催。無料。
NPO法人「音の風」
音楽を通じて人々の交流の機会を創出し、交流を深めて社会福祉への貢献を目指す。音楽ボランティアやアーティスト派遣、コーラス、ピアノなどの講座などに取り組む。市岡崎いきいき市民活動センターの指定管理者として運営を担っている。075(525)0600。