ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

図書点字化、足らぬ現状

2020.06.01

  • ふくしナウ

点訳奉仕員

点訳奉仕員養成講習会の様子(京都市北区紫野・京都ライトハウス)=提供写真

「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。

 図書や資料を点字化するボランティア、「点訳奉仕員」をご存じでしょうか。

 京都ライトハウス、そしてお隣の滋賀県立視覚障害者センターではそれぞれ約200人が点訳奉仕員として活動されています。また『日本の点字図書館34』によると、全国の点字図書館では6118人が活動されています(2017年度)。

 点訳は、読みを調べ、文章をルールに従って意味の切れ目で分け、パソコンに点字データを入力するという活動です。点字は6つの点からなります。パソコンでの点字入力は、キーボードで6つのキー(SDFJKL)のうちいくつかを同時に押すことで行います。

 点訳は、ご自宅で仕事や家事の合間にしていただきやすい活動です。点字図書を使って、弁護士や教員、公務員になられた方もいます。視覚障害者の社会進出につながる、やりがいのある活動です。

 活動を始めるための条件は、所属団体や活動によって異なります。当館では、講座(計44回、各2時間)を修了した方に、簡易な点訳をお願いしています。高度な知識と正確な入力が必要となる貸出図書点訳(蔵書点訳)については、講座修了に加え、当館実施の試験の合格を活動開始の条件としています。

 そのため、講座修了者のうち、蔵書の点訳に携わっていただける方は多くありません。そこで現在、当館では、より学習効果の高い講習会のカリキュラムの検討や、活動に即した試験方法への見直しなど、蔵書点訳者を増やす方法を模索しています。

 19年6月、障害の有無にかかわらず、等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現を目指して、読書バリアフリー法が成立しました。今後、点訳奉仕員の重要性は増していくことが考えられます。

 駆け足で「点訳奉仕員」についてご紹介してきました。点字図書は全般的に足りていない状態です。視覚障害福祉に興味のある方、本や言葉が好きな方。点訳奉仕員として活動してみませんか。講習会を受けてみたいという方は、例年、春~夏ごろに、講習会の受講者募集を行っています。費用は資料代など実費のみです。当館のホームページなどをご確認の上、ぜひお気軽にお申し込みください。

 問い合わせは、京都ライトハウス075(462)4579

(京都ライトハウス情報ステーション)